2008'10.09.Thu
2008'10.05.Sun
貴方の暗闇の中で死に絶える事を願っていた。見えない視界に見ることを諦め、ならばいっその事思考も全て奪ってくれればなんと楽だろうと。暗闇の恐怖を消し去るにはそれしか無い、と思っていた。今思えばなんて自分は愚かなのか。臆病だったのか。
目の前に広がる眩しすぎる光は、闇に慣れきっていた眼には毒だった。その毒から眼を守るように度々瞼を閉じては暗闇に逃げ込む。じわじわと迫る恐怖に怯えながらも、それていてその恐怖が心地良くもあった。なんていう矛盾。視界の開ける明るい光を欲していながら、闇から抜け出す事が出来ない。
ならばそのまま暗闇から抜け出さなければ良いのに、しかし消える事無い記憶が、暖かい光の心地良さを忘れていなかった。今ではそれを眼にする事さえ辛いのに、そこまでして欲してしまったのは、またあの光の暖かさに触れたかったから。
毒されると解っていながら、その眼を光に晒した。失明するかと言う程の眩しい光に晒し続ければ、毒された眼は毒への耐性を持ち始める。光に完全に慣れた頃には、暗闇からは抜け出していた。しかし漸く気付いたのは。
その光はかつての光とは違う物だったと言う事。光に慣れすぎた眼は、もう暗闇には戻れない。
暗闇の恐怖を消し去る事、それは暗闇から抜け出せば良い。至極簡単な事。
しかしそれは暗闇との永遠の別れ。かつて暗闇を作ったあの光とは別の光を見てしまった今、もうあの暗闇を見る事は無いのだから。
光は影の、影は光の。
果て迄付いていく、それぞれ対で、一つの物。
別の光を選んだ今、もうあの暗闇は選べない。
「俺は、新しい道を選んだんだ、大将」
それでも、閉じた瞼の中で未だ貴方の影を探す、愚かな自分を笑ってくれ。
今回は敢えて抽象的な文にしてみました。レイヴン独白。
2008'10.02.Thu
2008'10.02.Thu
深夜、周りも全て寝静まった中で何故か目が覚めてしまった。頭ははっきりとしていて、これでは簡単には寝れなそうだと、仕方なく静かに部屋を後にした。
廊下に出たところで何かがあるわけでも無く、しかし街に出るには夜が更けすぎている。とりあえず水でも飲むかと思い、食堂に向かった。
暗闇にも目が慣れてきた頃、静まり返った食堂で水を飲んでいれば、暗い食堂の片隅で小さく蹲って震えている小さな影が在ることに気付いた。宿の他の客の子供だろうか。見過ごす程自分の中の倫理は汚れていなかったらしい。
困り果てながらもその震える肩を優しく叩いた。びくりと一際大きく肩が震え、恐る恐る頭が上げられる。
「………、え」
「……………なんで、よ」
見慣れた翡翠の瞳が大きく見開かれて揺れていた。
「落ち着いた、リタっち」
先程よりはだいぶ落ち着いたのか、手渡したコップ一杯の水を抱えて恥ずかしそうに俯く。何でこんな所で震えていたのか、気にならない訳では無いが今はそれを聞く時では無いだろう。取り敢えず彼女を部屋に帰さなくては。
「歩ける、ならそろそろ部屋に戻らないと、嬢ちゃんが心配するよ」
そう極力優しく問い掛けるが、彼女は俯いたまま動く気配は無い。どうしようかと困り果てていると、閉じ切っていた口が開いた。
「…………なんで、何も聞かないのよ」
小さく呟かれた言葉は、いつもの彼女らしくない弱々しいもので、その様子に戸惑う。
「いくらおっさんでも、言いたくないものを無理に聞くつもりはないって」
そう言って手を伸ばせば、おずおずと足を包んでいた腕が持ち上がる。それを掴んで立ち上がらせれば、縋るような視線を向けられた。
「ほら、リタっち」
その視線は見なかった事にして、彼女の手を引く。部屋の前に着いて再び彼女の顔を見れば、とても寂しそうな顔をしていた。
「お休み、ちゃんと寝れると良いわね」
そう言って、音を立てないように静かに閉まっていく扉の先を見送る。扉が閉まり切った瞬間、溜め息が漏れた。
「………、勘弁してくれよ」
(護りたい、と思ってしまった。あの小さな少女を。その資格は自分には無いと言うのに)
レイリタ。でも裏切る前だから躊躇してる感じ。
最初は抱き締めるつもりで書いてたのでこのお題でしたが、なんかそうはいきませんでしたね(苦笑
攻略本の用語集で、リタのとこの最後の行に気になる一言があったので、もしかしたらリタは小さい頃に何かあって、アスピオに来たのかなぁと勝手に想像。それで何かトラウマになってるとか。ファミ通版が出ても何もなかったら、その設定で何か書きたいところ。
2008'10.01.Wed
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