2008'10.05.Sun
貴方の暗闇の中で死に絶える事を願っていた。見えない視界に見ることを諦め、ならばいっその事思考も全て奪ってくれればなんと楽だろうと。暗闇の恐怖を消し去るにはそれしか無い、と思っていた。今思えばなんて自分は愚かなのか。臆病だったのか。
目の前に広がる眩しすぎる光は、闇に慣れきっていた眼には毒だった。その毒から眼を守るように度々瞼を閉じては暗闇に逃げ込む。じわじわと迫る恐怖に怯えながらも、それていてその恐怖が心地良くもあった。なんていう矛盾。視界の開ける明るい光を欲していながら、闇から抜け出す事が出来ない。
ならばそのまま暗闇から抜け出さなければ良いのに、しかし消える事無い記憶が、暖かい光の心地良さを忘れていなかった。今ではそれを眼にする事さえ辛いのに、そこまでして欲してしまったのは、またあの光の暖かさに触れたかったから。
毒されると解っていながら、その眼を光に晒した。失明するかと言う程の眩しい光に晒し続ければ、毒された眼は毒への耐性を持ち始める。光に完全に慣れた頃には、暗闇からは抜け出していた。しかし漸く気付いたのは。
その光はかつての光とは違う物だったと言う事。光に慣れすぎた眼は、もう暗闇には戻れない。
暗闇の恐怖を消し去る事、それは暗闇から抜け出せば良い。至極簡単な事。
しかしそれは暗闇との永遠の別れ。かつて暗闇を作ったあの光とは別の光を見てしまった今、もうあの暗闇を見る事は無いのだから。
光は影の、影は光の。
果て迄付いていく、それぞれ対で、一つの物。
別の光を選んだ今、もうあの暗闇は選べない。
「俺は、新しい道を選んだんだ、大将」
それでも、閉じた瞼の中で未だ貴方の影を探す、愚かな自分を笑ってくれ。
今回は敢えて抽象的な文にしてみました。レイヴン独白。
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