2008'10.14.Tue
「…あの者は一体何者なのだ」
手を振り少年を見送る彼の背中を眺めながら、小さく問う。すると彼は静かに微笑を湛えつつ先ほどと同じ事を繰り返した。
「それは僕にも解らないよ」
その声色は先程の心配を含んだものではなく、とても冷たいものになっていて、それは常に聞いている主としての声色そのものだった。彼の豹変振りに、何か企んでいるのかと思ってしまう。
「…では何故匿っているのだ」
その冷酷な顔に、悲しさに似た感情が湧き上がるが、それは極力心の内に隠して、冷静を押し通しながら続けて問う。すると私の葛藤など分かりきっているのか、嘲笑うかのような笑みと口調で答えを返された。
「あれは、この世界のものじゃない」
「何…」
「僕には分かる。あれはマナとは違う『もの』で成り立ってる。そんなのはこの世界じゃありえないからね」
返ってきた答えは突飛したものだった。意味が分からず聞き返せば、エルフの血を引かない君には分かるわけがないよね、と暗に言われる。少なからず歯痒く感じるが、今はそれを気にしている場合ではない。
まさかと思う私の予想を肯定するように彼は続ける。
「それに少しだけだけどオリジンの力の干渉を感じた。あれは時空間を越える力を持っている。別世界のものを連れてきてもおかしくは無い」
「…それは、あの者が別の世界の人間だと…」
別の世界が存在しないと、言い切ることは私には出来ない。それはかつてデリスカーラーンの存在を知った時から分かっていた事だ。絶対など、存在しない。
オリジンが今の状態から干渉を行ったというのは気になるが、しかしそれ以外の理由は私にも思い付かなかった。
ならばと彼の意見の肯定を得る為に私の予想を伝えれば、返ってきたのは意外にも否定の言葉だった。
「ふふ…それはおかしいな。多分あれは人間ではないからね」
「……、ではハーフエルフだと」
「違うな。あれは人間でもハーフエルフでも、無い。人間そっくりの…偽物だよ」
薄い笑いを浮かべながら彼は楽しそうに答えを述べ始める。それはまるで新しい玩具を見つけた子供の様だった。
漸く15話を上げれました。
ミトスばっかでジェイド出てないとか言わないで(苦笑
あと3、4話したら出てくると思う、ので。
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