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日記兼短文落書置場..........。

日記だったり短文や絵を載せたり等々何でも賄えなノリで。

2024'05.17.Fri
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2008'10.22.Wed
ED後、ゼロスとコレットが結婚して子供が居ます。何気に救われない話なので、ご注意くださいませ。










「そうか、ついにこの町から出てくのか」
「うん……ごめんね、ロイド。貴方からゼロスを奪っちゃって」
「何言ってるんだよ、これで良かったんだって何度も言っただろう」
「……でも、ゼロスは」
「俺はあいつと一緒に居たらいけないんだよ。ゼロスには生きてて貰いたいからな」
「うん、わかってる」
「……これは俺のエゴなんだよ。コレットを巻き込んだのは悪いと思ってる、でも、他の奴には頼めないしな」
「巻き込まれたなんて思ってないよ、私もゼロスには生きていて欲しいもの」
「そっか……」
「……ごめんねロイド、そろそろ行かないと」
「ああ、最期にお前の顔が見れて、良かったよ」


木に囲まれた古びた家を背にして、静かに扉を閉めた。昔と変わらず、町とは離れた場所に存在するその家は、寂しそうに佇んでいる。遠目でその家を見送って、その空間から立ち去った。
今にも溢れそうな涙を堪えながら、町へと向かう道を早足で降りる。町の入り口では彼が待っていてくれた。その姿を見るなり堪えていた涙が零れ落ちる。そんな私を彼は優しく抱き締めてくれた。
一番泣きたいのは貴方の筈なのに。
「おかえり、コレット」
静かな声で優しい笑顔で、私を慰めてくれる。私の、旦那様。



それは数年前の事。

「久し振りだなぁ、コレットちゃん」
珍しくこの家に訪れた彼は、昔と変わらない様子で明るく振る舞っていた。私もあの頃の仲間に会わなくなって随分と経っていたから、彼に会えたのがとても嬉しかった。久し振りに昔話に花を咲かせようかと思ったけれど、彼の様子は何だかおかしくて、嫌な予感が頭をよぎった。
「ロイドは、一緒じゃないんだね」
そう言えば、彼は途端に表情を暗くして俯く。それだけで私は解ってしまった。もう、そんな時が来てしまったのだと。
「……つい1週間前に、倒れたんだ。命に別状は無いけど、もう旅は続けらんないって、よ」
もう何度も繰り返した。何度も何度も私達は別れを繰り返して、もう私達しか残って居なかったのに。私達は2人っきりになってしまう。
「それでさ、……コレット」
絶望にも似た悲しみに耽っていると、彼が稀に聞く真摯な響きで私の名前を呼ぶ。彼にしては珍しいその呼び方に背筋がぞくりとした。跳ねるように頭を上げて彼を見れば、彼は優しく笑って。
「俺達、結婚……しないか」
泣きそうな声でそう言った。


今思えばこれは必然だったのかも知れない。長い時を生きる事になってしまった私達は、時から取り残された。周りが目まぐるしく変わっていく中で、私達だけは変わらずに、あの時のまま。なんで、なんて考えなくても解ってた。
同じ場所に居続ければやがて奇異の目を向けられ、逃げるようにいろんな場所を転々としていた。最初は先生とジーニアスも一緒だったけれど、彼等は先に逝ってしまった。3人だけになって、それでも2人はエクスフィア回収の旅を続けていたから、私は独りで隠れるように過ごしていた。
寂しくなかった、とは言わない。でもこの寂しさを共有できる人は2人以外にもう居なかった。もう終わりにしてしまおうと何度思ったか分からない。でも1人で死んでいく方がもっと怖かった。

彼の言葉の返事を泣きながら返していた時、私は心のどこかで安堵していた。漸く独りから抜け出せるのだと、楽になれると。彼は私と同じだから。他のみんなとは違う、同じ境遇の、私の分身。きっと何もなければこれからも同じ時間を共に生きていける。ロイドには本当に酷いと思うけど、彼がロイドの側から離れて、私の所に来てくれたのが本当に嬉しかった。
彼が、ロイドと共に逝ってしまう心配は無くなったのだから。


彼がロイドの側から離れて、私の元へ来てくれた時、本当はロイドに言われた事を解ってたの。彼は本当にロイドを愛して居たから、ロイドは本当に彼を愛していたから。私もロイドを信じていたし、彼を愛していたから。
一番苦しいのは彼だって解ってるのに、私は、私のエゴでそれを見ない振りをした。
私は本当は、とても醜い女なんだよ。


彼がこの子を優しく抱きしめる度に、彼は何処にも行かないと思えて、心の底から安心する。彼が父親になる姿なんて想像出来なかったけど、今では立派な父親になったと思う。でもそれ以上に不安な事があった。
彼に似た柔らかい赤い髪を撫でていると、とても気持ちよさそうにしているこの子は、とてもすくすく育っている。周りの子供達と何ら違わない。それはとても嬉しい事だけれど、本当にこの子が普通の子だったら。
「……また、置いて行かれるのかな」
時の止まってしまった私達より、時の動いているこの子は、きっと先に逝ってしまう。また2人になってしまう。
「たとえそうだとしても、俺はコレットの側にずっといるから、な」

そう言って優しく抱き締める貴方は、誰よりも綺麗に、でも悲しそうに笑っていた。



「ロイドが逝くなら俺だって一緒だ」
「馬鹿なこと言うなよ、お前はまだ生きていけるだろう」
「独りで生きるなんて地獄以外の何物でもない、お前と一緒に旅するって決めてから、ずっと決めてたんだ」
「コレットは……、どうするんだ。あいつはその地獄をずっと耐えてきたんだぞ」
「それでも、俺は……」
「なぁ、ゼロス。俺の願いを叶えてくれないか」
「……ロイド、」
「俺を追って死んだりしないでくれ、お前には生きていて欲しいんだよ」
「………、ずるい。ずるいぜ、ロイド」
「流石にこの年になれば狡くもなるさ」

「だから、さ。ゼロス……」





その笑顔に、それまで忘れていた涙というものが、頬を伝った。









書きたい物を勢いで詰め込んだらなんか所々おかしくなってしまいました(苦笑
補足すると。
クルシスの輝石の影響で天使化が解除出来ず、長い時を昔の姿のまま過ごす神子んびと、エクスフィア回収の為に輝石を付けていたから普通の人よりは寿命が長いけど、それでも寿命が来てしまったロイド君。
神子んびは結婚して隠れながら静かに暮らすんだと思います。自殺は出来るんだろうけど、コレットはゼロスの為に、ゼロスはロイドの為に、死ねないんです。
昔似たような設定でぼろぼろに泣かされた事があって、私も書きたいとずっと思ってたんですよね。
これは泣くには程遠い出来になっちゃいましたけど(苦笑

何はともあれデカダンお題50個全て完了出来ました。1年と3ヶ月ぐらいですね。長かった(笑
また新しいお題借りて頑張りたいと思います。

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2008'10.05.Sun

貴方の暗闇の中で死に絶える事を願っていた。見えない視界に見ることを諦め、ならばいっその事思考も全て奪ってくれればなんと楽だろうと。暗闇の恐怖を消し去るにはそれしか無い、と思っていた。今思えばなんて自分は愚かなのか。臆病だったのか。

目の前に広がる眩しすぎる光は、闇に慣れきっていた眼には毒だった。その毒から眼を守るように度々瞼を閉じては暗闇に逃げ込む。じわじわと迫る恐怖に怯えながらも、それていてその恐怖が心地良くもあった。なんていう矛盾。視界の開ける明るい光を欲していながら、闇から抜け出す事が出来ない。

ならばそのまま暗闇から抜け出さなければ良いのに、しかし消える事無い記憶が、暖かい光の心地良さを忘れていなかった。今ではそれを眼にする事さえ辛いのに、そこまでして欲してしまったのは、またあの光の暖かさに触れたかったから。

毒されると解っていながら、その眼を光に晒した。失明するかと言う程の眩しい光に晒し続ければ、毒された眼は毒への耐性を持ち始める。光に完全に慣れた頃には、暗闇からは抜け出していた。しかし漸く気付いたのは。

その光はかつての光とは違う物だったと言う事。光に慣れすぎた眼は、もう暗闇には戻れない。

暗闇の恐怖を消し去る事、それは暗闇から抜け出せば良い。至極簡単な事。
しかしそれは暗闇との永遠の別れ。かつて暗闇を作ったあの光とは別の光を見てしまった今、もうあの暗闇を見る事は無いのだから。

光は影の、影は光の。
果て迄付いていく、それぞれ対で、一つの物。


別の光を選んだ今、もうあの暗闇は選べない。




「俺は、新しい道を選んだんだ、大将」

それでも、閉じた瞼の中で未だ貴方の影を探す、愚かな自分を笑ってくれ。






今回は敢えて抽象的な文にしてみました。レイヴン独白。

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2008'10.02.Thu

深夜、周りも全て寝静まった中で何故か目が覚めてしまった。頭ははっきりとしていて、これでは簡単には寝れなそうだと、仕方なく静かに部屋を後にした。
廊下に出たところで何かがあるわけでも無く、しかし街に出るには夜が更けすぎている。とりあえず水でも飲むかと思い、食堂に向かった。
暗闇にも目が慣れてきた頃、静まり返った食堂で水を飲んでいれば、暗い食堂の片隅で小さく蹲って震えている小さな影が在ることに気付いた。宿の他の客の子供だろうか。見過ごす程自分の中の倫理は汚れていなかったらしい。
困り果てながらもその震える肩を優しく叩いた。びくりと一際大きく肩が震え、恐る恐る頭が上げられる。
「………、え」
「……………なんで、よ」
見慣れた翡翠の瞳が大きく見開かれて揺れていた。


「落ち着いた、リタっち」
先程よりはだいぶ落ち着いたのか、手渡したコップ一杯の水を抱えて恥ずかしそうに俯く。何でこんな所で震えていたのか、気にならない訳では無いが今はそれを聞く時では無いだろう。取り敢えず彼女を部屋に帰さなくては。
「歩ける、ならそろそろ部屋に戻らないと、嬢ちゃんが心配するよ」
そう極力優しく問い掛けるが、彼女は俯いたまま動く気配は無い。どうしようかと困り果てていると、閉じ切っていた口が開いた。
「…………なんで、何も聞かないのよ」
小さく呟かれた言葉は、いつもの彼女らしくない弱々しいもので、その様子に戸惑う。
「いくらおっさんでも、言いたくないものを無理に聞くつもりはないって」
そう言って手を伸ばせば、おずおずと足を包んでいた腕が持ち上がる。それを掴んで立ち上がらせれば、縋るような視線を向けられた。
「ほら、リタっち」
その視線は見なかった事にして、彼女の手を引く。部屋の前に着いて再び彼女の顔を見れば、とても寂しそうな顔をしていた。
「お休み、ちゃんと寝れると良いわね」
そう言って、音を立てないように静かに閉まっていく扉の先を見送る。扉が閉まり切った瞬間、溜め息が漏れた。
「………、勘弁してくれよ」




(護りたい、と思ってしまった。あの小さな少女を。その資格は自分には無いと言うのに)




レイリタ。でも裏切る前だから躊躇してる感じ。
最初は抱き締めるつもりで書いてたのでこのお題でしたが、なんかそうはいきませんでしたね(苦笑
攻略本の用語集で、リタのとこの最後の行に気になる一言があったので、もしかしたらリタは小さい頃に何かあって、アスピオに来たのかなぁと勝手に想像。それで何かトラウマになってるとか。ファミ通版が出ても何もなかったら、その設定で何か書きたいところ。

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2008'09.26.Fri
吐き出した吐息は決して彼に届くことは無く、ただ空に紛れて消えていく。残された彼のそれが流れ出るのを恨めしく眺める様は、我ながら女々しい。
こんな風に醜い想いを抱かせる位ならいっそ一思いに殺してくれれば良いのに、彼は飽くまで道具として生かし続ける。
私の中はもう貴方への慕情の念で一杯になってしまったと言うのに。
「……何を考えている」
冷たく突き刺すその視線は決して私の思いなど知る由も無いのでしょう。否、道具がそんな事を考える必要も無いのか。
「いえ、何も」
貴方が道具をお望みなのだから、私も道具に成り切るだけ。冷たい視線に返すのは冷たい視線だけで良い。熱した視線を返した所で、それは意味を為さないのだから。
ほらまた彼は私の髪を掴んで床に押し付ける。私は道具として玩具として彼の鬱憤を晴らす為だけに存在しているに過ぎないのだ。
その無理矢理である筈の行為に私が心酔していると知ったら彼は私を捨てるのだろうか。無機質な筈の道具が主人に慕情という醜い感情を抱いてるのは、とても気持ち悪い事だろう。彼はそんな道具を求めていない。
だからせめて彼の前では無機質な道具として在り続けよう。彼が私を捨てないように。

そしてまた中に注がれる貴方様のそれの熱をとても愛おしく思いながら、届かない想いを静かに隠し続けるのだ。






アレシュヴァだけどシュヴァーンの独白に近い。なんて乙女なんだろうねシュヴァーン。

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2008'09.23.Tue

「あんたは何を守りたいんだ」
不意に問いかけられた質問はその意味を掴むには余りに曖昧すぎて、反応を返そうにもどう返して良いか解らず、結局はいつもの様に惚けたような台詞が口から出てしまった。
「……一体何の事かな、青年」
案の定惚けるなとでも言いたげな顔で溜め息を吐かれるが、今回は本当に解らないんだから仕方無いだろう。自分はなんて信用されていないのか、自業自得なのは解っているが、少し泣きたい気分だ。
「帝国飛び出してギルドに入ってまで守りたいもの、あんたにだってあるんだろ」
返された返事は青年からすれば真剣に聞きたいことなんだろう。唯でさえ守りたい者の為にもがいている彼だ。ドンのあの姿を見て思う事もあるのだろう。
だが、それを自分に聞いてくるとは。
「……困ったねぇ」
「別に言いたくないなら聞かねぇよ」
「いやー……なんつーか、その答えを持ってないのよね」
苦笑しながらそう言えば驚いた顔を向けられる。自分の無機質な心臓がちくりと痛んだ気がした。そんな感覚は当の昔に無くなったと思っていたのに。
「まぁ、誰もがみんなドンみたいな高い志を持ってるわけじゃない、ってこと」
そもそも帝国を飛び出してさえいないのだ。あの方がそう言ったからユニオンに入り込むのに一番有利なギルドを選んだだけ。情報を得易くする為にドンに気に入られる様に過ごしていたら、気が付けば幹部にまでなっていただけの事。
守りたいものも守りたい法も何もない。あるとすればそれはあの方からの信頼だけ。あの方だけが私の絶対の法。それだけが道具である私の拠り所なのだから。
「そうかよ……俺、人を見る目に自信あったんだけど、勘違いだったみてぇだな」
まるで蔑む様な視線を注がれながら、そう言い放たれる。また偽物の心臓がちくりと痛んだ。慣れないその感覚に戸惑いながら、それを誤魔化す様に作った笑みで軽口を叩いた。
「何よその言い種、まるでおっさんが駄目人間みたいじゃないの」
「そのつもりで言ったんだけどな」
「うわ、酷いわー」
そのやり取りを最後に、青年は興味無さ気に立ち去った。ボロが出ずに済んで良かったと胸を撫で下ろすが、どうも先程の心臓の痛みが気になって仕方がない。
まさか、心を痛めるなんて事象が自分に起こる筈等無いのに。

また、凍った筈の心が、ちくりと痛んだ。








仲の良いユリレイを書こうとしたのに何故こうも険悪に(汗
つかアレシュヴァが根底で強すぎ。
多分シュヴァーン戦を過ぎれば変わるはずだよ(苦笑

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