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日記兼短文落書置場..........。

日記だったり短文や絵を載せたり等々何でも賄えなノリで。

2025'05.10.Sat
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2009'04.16.Thu
とんとん、と閉じられた扉を控え目に叩く。だが、部屋は静まり返っていて、求めていた返事は返って来ない。鍵は掛かっていないようで、ゆっくりとノブを回せばかちゃりと小さな音を立てて開いた。
「……スパーダ、入るよ」
勝手に入るのも悪いと思ったけれど片手に抱えたものが冷めてしまうし、仕方無く一言だけ断って部屋に入る。
少し入った先にあるベッドの上、横たわっている彼の姿が見えた。
「あれ……スパーダ、寝ちゃってるの?」
腕に隠されて表情は見えない。取り敢えずお盆をテーブルに置いて、彼の顔を覗き込んだ。
「………、んだよ」
漸く彼の顔が見えそうという距離で、ぼそりと彼の口が動いた。未だ顔は見えないけれど、やっぱりまだ起きていたらしい。
「夕飯、スパーダの分持ってきたんだけど……」
そう言ってテーブルを指差せば、体を起こして一瞥してから小さく溜め息を吐かれた。
「いらねぇ、って言っただろーが」
「駄目だよ、明日だって移動するんだし、体力持たないよ」
「そんな柔じゃねーよ俺は」
そう言いながらも渋々起き上がりテーブルに向かって、お盆に並べられた食事に手を付け始めた。その仕草はやっぱり優雅で、さっきのお兄さんの姿と被る。
「……あのなぁ、そうやって見られてっと食べ難いだろ」
ぼーっとそんな事を考えていたら知らぬ間に彼の事を眺め続けていた様で、居辛そうに彼が呟く。その声は何だかいつもより覇気が無くて、やっぱり気にしているのかと思ってしまう。
「あ、……ごめん」
「つーかよ、言いたい事あるならはっきり言えっつーの」
焦った様にそう謝れば、彼は面倒くさそうに顔を顰めて言う。きっと僕の思っている事なんて気付いているんだ。どう返せば良いか分からなくて部屋には静寂が訪れる。徐々に気まずくなる空気に意を決して口を開いた。
「スパーダは、家には帰らないの?」
「はっ、あれ聞いといてよく言えるぜ、誰が帰るかあんなとこ」
「お兄さんはスパーダを探してくれたんだよ」
「親父に言われて仕方無くだろ、そう言ってたじゃねえか」
「で、でもきっと心配して……っ」
がちゃん、と音を立てて力任せに置かれる食器。座っていた椅子を勢い良く倒して彼が立ち上がった。
「何も知らねぇ癖に好き勝手事言うんじゃねえよ」
「そんなつもりじゃ……」
「どうせ可哀想だとか思ってんだろ、大きなお世話だぜ」
吐き捨てる様にそう言ってまたベッドに向かい毛布に包まってしまう。有無を言わさない拒絶にただ呆然と立ち尽くした。やっぱりリカルドさんの言っていた様にそっとしておくべきだったのかな、なんて思いもしたけれど、それじゃいけない気もするんだ。
「……だって」
「あん、まだ何かあんのかよ」
「だって、何も教えてくれないじゃないか。教えてくれないから知らないし分からないんだ。分からないのにスパーダのあんな顔見たら気になるに決まってるよっ」
怪訝な顔をする彼を見ない振りをして、一気に思っていた事を吐き出した。最後は半ば叫びの様になっていて、彼が呆気に取られているのが分かった。
「……お前に分かってもらうつもりはねぇよ」
「駄目だよっ」
困った様に顔を背ける彼に、一言強く言い放ってそれを咎める。逃げる様に毛布に顔を隠そうとする彼の腕を掴んだ。
「僕達は仲間なんだから、スパーダの事もちゃんと知りたい」
そう言ってその顔を真っ直ぐ見つめれば、そこで漸く彼の目元が赤く染まっているのに気付いた。その姿にまた胸が苦しくなる。
「……一人で泣いてて欲しくないよ」
息をのむ彼をゆっくり抱き締めれば、く曇った嗚咽が小さく零れ始める。震える翡翠の髪を静かに撫でながら、その声が消えるまでずっとそうしていた。



「本当に、良いの」
翌朝ハルトマンさんの家を後にして道具調達もそこそこに再び街の外へと出る。前を歩いている彼の姿はいつもと変わらない。無理している様にも見えるその姿にそう問い掛ければ、思っていたよりもすっきりとした顔を返された。
「ん、別に良いんじゃねえの」
「別にって……」
「どうせ俺は戻る気ねぇし、それに俺達は仲間なんだろ、ダチは裏切らない主義だからな」
そう言って彼らしい笑い声を上げながらぽんぽんと頭を軽く叩かれる。その様子に安心して、僕も笑いながら頭を押さえてそれに応えた。
「ちょっとあんた達煩いわよっ」
後ろからそうイリアに怒られて、また二人で笑ってしまう。呆れた様な声が後ろから聞こえたのに気付いていたけれど、不思議と気にはならなかった。


「……てか、何よあれ」
「何やルカ兄ちゃんとスパーダ兄ちゃん仲良しになってるなあ、うち羨ましいわぁ」
「スパーダの奴、もっと落ち込んでるかと思ったのに」
「ミルダのお陰だろうな」
「そうですね、スパーダ君良い表情してるもの、ルカ君は凄いなぁ」









と言うことで、例の続きです。
もう完全に新しく書いたものになります。本当に前に何が書きたかったのか思い出せませんでした(苦笑
前編の流れに対して少しおかしい気もしますが、何分1年も開いていれば仕方ないですよ、もう。
こんなんで満足していただけるか分かりませんが、良かったですかね。

あとこれ、久しぶりに記号が復活してます。一年間鍵括弧と三点だけで頑張ってみたんですが、今後もはてなだけは復活してこうと思ってます。やっぱり私如きでは表現に限界を感じました(苦笑

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