2009'08.22.Sat
こんな失敗するから救えない(汗
とりあえず前から書いてて殆ど進まなかったクラゼロリク文を一度休ませて、違うのを書き始めたんですよ。
まぁクラゼロリク文には変わりないんですが、指定がしっかりしてた分すらすらと書けてたんですよね久しぶりに。
で、書きながら設定確認しようと攻略本を開いたら。
致命的な勘違いを発見してですね……。
没、ですよねぇ(苦笑
とりあえずなんか勿体無いんでごみ箱に捨てときます。良かったら読んでやって下さいな。
これでまた一から書き直しだけど一通り話の流れは思い付いたから早く書けるかも、しれない。
スランプ脱出かなぁ……。
とりあえず早くしないとまた月始めが来てしまうよ、マガ文も書かないとなぁ。
とりあえず前から書いてて殆ど進まなかったクラゼロリク文を一度休ませて、違うのを書き始めたんですよ。
まぁクラゼロリク文には変わりないんですが、指定がしっかりしてた分すらすらと書けてたんですよね久しぶりに。
で、書きながら設定確認しようと攻略本を開いたら。
致命的な勘違いを発見してですね……。
没、ですよねぇ(苦笑
とりあえずなんか勿体無いんでごみ箱に捨てときます。良かったら読んでやって下さいな。
これでまた一から書き直しだけど一通り話の流れは思い付いたから早く書けるかも、しれない。
スランプ脱出かなぁ……。
とりあえず早くしないとまた月始めが来てしまうよ、マガ文も書かないとなぁ。
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2009'08.17.Mon
マガログ第二弾6月ログでルクアシュ。
ぬるいえろ文。珍しい出来のお話。
いちゃいちゃしてるだけ。
暖かい日差しの中、遠くに小鳥の囀りを聞きながらふかふかとしたベッドの上で微睡む。時折瞼を刺激する日光に起床を促されるけれど、まだ頭はぼんやりとしていて、もう少しこうして横になっていたかった。
とりあえず眩しい日光から逃げるために体を反転させようと頭を捻る。すると目の前に紅い髪が広がっていた。結構な長さのそれに、あれ俺髪切ったはずだよなぁ、と考えていれば、その隙間から覗いた見慣れた白い顔に、一瞬にして昨日の事を思い出した。
(そう言えばアッシュと寝たんだっけ)
昨晩偶然にも同じ宿に泊まる事になった俺達は、部屋代を節約するために同じ部屋に泊まる事にした。元々俺達の方は男性陣の部屋は一人分開いていたし、アッシュも丁度良かったんだと思う。最初は嫌々って感じだったけど。
本当は何事も無く朝を迎えるつもりだった。俺達もアッシュも毎日忙しく動き回っている身だ。宿でゆっくり休める日は決して多くは無い。だから俺もそうだけど、アッシュも疲れてるだろうと思って我慢しようとした。
(あれはアッシュが綺麗なのがいけないんだよな)
そう決意して部屋の扉を開ければ、そこに居たのは珍しく前髪を下ろしたままのアッシュで。僅かに湿ったそれに風呂上がりだと分かる。紅くていつもはさらさらしてる髪が顔や首に軽く張り付いていて、何て言うか、えろかった。
少なからず何度かアッシュとそう言う事をしている身としては、その姿に色々と想像してしまう訳で。ドアの前で固まった俺を、らしくないきょとんとした顔で見つめられれば、我慢なんて出来るはずがなかった。
「あー……駄目じゃん、俺」
一通り思い返せばもう意識はしっかりしていて。寧ろ昨晩の事を思い出したせいで、朝っぱらだというのに自身が元気になっている。泣きたい気分だ。しょうがないからトイレ行くか、と情けなくベッドから身を起こせば。
「………ぅん、」
「……え、勘弁してよアッシュー…」
ぐい、と腕を引かれて再びベッドに沈んでしまう。一層アッシュの顔が近くになって、身体の熱もまた上がってしまった。
逃げようと身を捻ってもアッシュの腕は俺の背中に回っていて身動きが出来なかった。夢で俺の事とか見てるのかなぁ、なんて少し嬉しくも思ったりしながらも、上がる一方の熱に困り果ててしまう。
(正直、もう我慢出来そうに無いよ…)
そんな俺を知る由も無く、アッシュはすやすやと規則正しい寝息を立てている。薄く開いたその唇を見ていたら、何だか無性にキスしたくなって、起こさない様に恐る恐る顔を近付けた。触れれば柔らかいそこに、昨晩の事を思い出しながら何度も何度も啄む様に軽いキスをする。この感触をおかずに後で抜こうとぼんやり考えながら繰り返していれば、唐突に聞こえる呻き声。見ればアッシュが薄く瞼を開いて、未だ意識は夢の中なのかぼんやりとしたまま俺を見ていた。
とっさに顔を離して出来る限り距離を取る。腕はまだ背中に回ったままだから、あまり離れてはいないけれど。
「………るーく、?」
「あ、はは……おはよ、アッシュ」
俺の姿を確認して、寝起きの舌っ足らずな声で俺の名を呼ぶ。誤魔化す様に返事をすれば、アッシュは不思議そうに目を瞬きさせる。その様子に可愛いなぁ、と思っていれば、唐突に突き放された。
「な…、何してやがるんだっ、この屑が!」
「何だよーアッシュ、寝ぼけて離さなかったのはお前だろ」
「……う、煩い」
「まぁいいや、離して貰えたし俺トイレに……」
目が覚めた瞬間、さっきまでの可愛い素振りは無くなって、いつものアッシュに戻ってしまった。それはそれで良いんだけど、何だか残念な気分だ。さっきの感触を忘れない内にトイレに逃げ込んでしまおう。
そう思ってアッシュに背を向ければ、再び引き寄せられた腕。振り向けばアッシュが済まなそうな顔をして腕を伸ばしていた。
「アッシュ?」
「……おい、それ」
そう言って見つめてるのは盛り上がっている俺のズボンの部分で、もう情けないというか恥ずかしいというか、居たたまれない気分で一杯だ。
「え、あ、気にしないでって…え?」
「動くなよ」
「え、ちょっと、アッシュ!?」
いつの間にかアッシュの腕は俺のズボンに掛かっていて、慌ててる俺を尻目にそのまま下着姿にされてしまう。その上から自身をその長い指で撫でられれば、息を飲まずには居られなかった。
「っ…、アッシュ何で、」
「……別に」
戸惑いながらそう問い掛ければ、素っ気ない返事が返ってくる。でも赤くなってる顔に照れているんだとすぐに分かった。だって、耳まで真っ赤に染まってるしな。その様子に微笑めば、アッシュは俯いて顔を隠す。紅い髪の隙間から見える顔は、更に真っ赤に染まっていた。
「……、もしかしてアッシュも」
「………っ、」
「やっぱ俺の事夢見てたんだ、アッシュって本当可愛いよな」
「いい加減な事を言っ…、ぅあっ」
「ほら、こんなに」
そう言ってアッシュの自身に腕を伸ばせば、そこは俺と同じ様に張り詰めていて、ゆっくりと布越しに扱いてやれば微かに湿り気が帯びてくる。堪える様に小さく声を漏らすアッシュをもっと見たいと思って、邪魔な布を取っ払って直接触れてみた。するとアッシュは嫌々と首を振りながら快感に堪える。その姿が一層可愛かった。
「気持ちいい?」
「そ、なわけな…いっ、」
「素直じゃないよなぁ。ならさ、ここの手止めるなよ。俺、アッシュに気持ち良くして貰いたいし」
いつの間にか止まっていたそこを指差せば、アッシュは思い出した様にゆるゆると指を動かす。その顔は何だか一生懸命で、その健気さに愛おしくなった。それに応える様に俺も一生懸命アッシュの自身を扱いてやる。
気が付けば二人とも朝っぱらから身体を晒して慰め合っていた。互いに交差させた腕の先で、指先で熱を高め合う。
「…っ、アッ、シュっ…一緒に…!」
「んっあ、あっ…るーく……っ!」
殆ど同時に白濁を吐き出して、力の抜ける身体を抱き合いながらベッドに倒れ込む。何だかとても幸せな気分だ。
「………朝からこんな事をするなど」
「先にアッシュがあんな事するからだろ、本当に素直じゃないよなぁ」
「黙れ」
「ま、俺はそんなアッシュを愛してるんだけど」
そう言えばアッシュはまた顔を真っ赤にさせて、そのままシーツに包まってしまった。その姿にまた可愛い、と呟いてシーツごと抱き締めれば、紅い髪は少し揺れたけれど、そのまま静かに腕の中に収まっていた。
選択制お題より。
配布元:Abandon
ぬるいえろ文。珍しい出来のお話。
いちゃいちゃしてるだけ。
暖かい日差しの中、遠くに小鳥の囀りを聞きながらふかふかとしたベッドの上で微睡む。時折瞼を刺激する日光に起床を促されるけれど、まだ頭はぼんやりとしていて、もう少しこうして横になっていたかった。
とりあえず眩しい日光から逃げるために体を反転させようと頭を捻る。すると目の前に紅い髪が広がっていた。結構な長さのそれに、あれ俺髪切ったはずだよなぁ、と考えていれば、その隙間から覗いた見慣れた白い顔に、一瞬にして昨日の事を思い出した。
(そう言えばアッシュと寝たんだっけ)
昨晩偶然にも同じ宿に泊まる事になった俺達は、部屋代を節約するために同じ部屋に泊まる事にした。元々俺達の方は男性陣の部屋は一人分開いていたし、アッシュも丁度良かったんだと思う。最初は嫌々って感じだったけど。
本当は何事も無く朝を迎えるつもりだった。俺達もアッシュも毎日忙しく動き回っている身だ。宿でゆっくり休める日は決して多くは無い。だから俺もそうだけど、アッシュも疲れてるだろうと思って我慢しようとした。
(あれはアッシュが綺麗なのがいけないんだよな)
そう決意して部屋の扉を開ければ、そこに居たのは珍しく前髪を下ろしたままのアッシュで。僅かに湿ったそれに風呂上がりだと分かる。紅くていつもはさらさらしてる髪が顔や首に軽く張り付いていて、何て言うか、えろかった。
少なからず何度かアッシュとそう言う事をしている身としては、その姿に色々と想像してしまう訳で。ドアの前で固まった俺を、らしくないきょとんとした顔で見つめられれば、我慢なんて出来るはずがなかった。
「あー……駄目じゃん、俺」
一通り思い返せばもう意識はしっかりしていて。寧ろ昨晩の事を思い出したせいで、朝っぱらだというのに自身が元気になっている。泣きたい気分だ。しょうがないからトイレ行くか、と情けなくベッドから身を起こせば。
「………ぅん、」
「……え、勘弁してよアッシュー…」
ぐい、と腕を引かれて再びベッドに沈んでしまう。一層アッシュの顔が近くになって、身体の熱もまた上がってしまった。
逃げようと身を捻ってもアッシュの腕は俺の背中に回っていて身動きが出来なかった。夢で俺の事とか見てるのかなぁ、なんて少し嬉しくも思ったりしながらも、上がる一方の熱に困り果ててしまう。
(正直、もう我慢出来そうに無いよ…)
そんな俺を知る由も無く、アッシュはすやすやと規則正しい寝息を立てている。薄く開いたその唇を見ていたら、何だか無性にキスしたくなって、起こさない様に恐る恐る顔を近付けた。触れれば柔らかいそこに、昨晩の事を思い出しながら何度も何度も啄む様に軽いキスをする。この感触をおかずに後で抜こうとぼんやり考えながら繰り返していれば、唐突に聞こえる呻き声。見ればアッシュが薄く瞼を開いて、未だ意識は夢の中なのかぼんやりとしたまま俺を見ていた。
とっさに顔を離して出来る限り距離を取る。腕はまだ背中に回ったままだから、あまり離れてはいないけれど。
「………るーく、?」
「あ、はは……おはよ、アッシュ」
俺の姿を確認して、寝起きの舌っ足らずな声で俺の名を呼ぶ。誤魔化す様に返事をすれば、アッシュは不思議そうに目を瞬きさせる。その様子に可愛いなぁ、と思っていれば、唐突に突き放された。
「な…、何してやがるんだっ、この屑が!」
「何だよーアッシュ、寝ぼけて離さなかったのはお前だろ」
「……う、煩い」
「まぁいいや、離して貰えたし俺トイレに……」
目が覚めた瞬間、さっきまでの可愛い素振りは無くなって、いつものアッシュに戻ってしまった。それはそれで良いんだけど、何だか残念な気分だ。さっきの感触を忘れない内にトイレに逃げ込んでしまおう。
そう思ってアッシュに背を向ければ、再び引き寄せられた腕。振り向けばアッシュが済まなそうな顔をして腕を伸ばしていた。
「アッシュ?」
「……おい、それ」
そう言って見つめてるのは盛り上がっている俺のズボンの部分で、もう情けないというか恥ずかしいというか、居たたまれない気分で一杯だ。
「え、あ、気にしないでって…え?」
「動くなよ」
「え、ちょっと、アッシュ!?」
いつの間にかアッシュの腕は俺のズボンに掛かっていて、慌ててる俺を尻目にそのまま下着姿にされてしまう。その上から自身をその長い指で撫でられれば、息を飲まずには居られなかった。
「っ…、アッシュ何で、」
「……別に」
戸惑いながらそう問い掛ければ、素っ気ない返事が返ってくる。でも赤くなってる顔に照れているんだとすぐに分かった。だって、耳まで真っ赤に染まってるしな。その様子に微笑めば、アッシュは俯いて顔を隠す。紅い髪の隙間から見える顔は、更に真っ赤に染まっていた。
「……、もしかしてアッシュも」
「………っ、」
「やっぱ俺の事夢見てたんだ、アッシュって本当可愛いよな」
「いい加減な事を言っ…、ぅあっ」
「ほら、こんなに」
そう言ってアッシュの自身に腕を伸ばせば、そこは俺と同じ様に張り詰めていて、ゆっくりと布越しに扱いてやれば微かに湿り気が帯びてくる。堪える様に小さく声を漏らすアッシュをもっと見たいと思って、邪魔な布を取っ払って直接触れてみた。するとアッシュは嫌々と首を振りながら快感に堪える。その姿が一層可愛かった。
「気持ちいい?」
「そ、なわけな…いっ、」
「素直じゃないよなぁ。ならさ、ここの手止めるなよ。俺、アッシュに気持ち良くして貰いたいし」
いつの間にか止まっていたそこを指差せば、アッシュは思い出した様にゆるゆると指を動かす。その顔は何だか一生懸命で、その健気さに愛おしくなった。それに応える様に俺も一生懸命アッシュの自身を扱いてやる。
気が付けば二人とも朝っぱらから身体を晒して慰め合っていた。互いに交差させた腕の先で、指先で熱を高め合う。
「…っ、アッ、シュっ…一緒に…!」
「んっあ、あっ…るーく……っ!」
殆ど同時に白濁を吐き出して、力の抜ける身体を抱き合いながらベッドに倒れ込む。何だかとても幸せな気分だ。
「………朝からこんな事をするなど」
「先にアッシュがあんな事するからだろ、本当に素直じゃないよなぁ」
「黙れ」
「ま、俺はそんなアッシュを愛してるんだけど」
そう言えばアッシュはまた顔を真っ赤にさせて、そのままシーツに包まってしまった。その姿にまた可愛い、と呟いてシーツごと抱き締めれば、紅い髪は少し揺れたけれど、そのまま静かに腕の中に収まっていた。
選択制お題より。
配布元:Abandon
2009'08.17.Mon
余りに文載せてなかったから、マガログを載せてしまう事にした。
更新すれば良いだけ、とかは言わないで。
とりあえず5月のログでピオジェ。
秘預言ネタ。
刻々と迫り来る期限。それは決して目に見えるものでは無かったけれど、しかし確実に近付いていた。
嘗て青々と繁っていた木々達は、今は無惨に枯れ果て茶色に変色している。街全体を包んでいる空気も淀んでいて、人の気配など有りはしない。
死んだ様なその街は、正しく人々に捨てられてしまったのだ。嘗ては綺麗だった建造物も今は崩れ果て、その隙間から見えるのは腐敗した死体ばかり。人の物ばかりではない、小動物や魔物でさえも息絶えていた。
その様を二つの赤い目が、布の隙間から見つめていた。
かつりかつりとブーツの音を響かせて進む先は嘗ての宮殿。他と同じ様に崩壊したそこには、やはり生きているものなど他に存在していなかった。
奥に進めば進むほど酷くなる腐敗臭。それに比例する様に増えていく死体。青い装飾で彩られた広間には、それを覆い隠す様に飛び散った多くの血が、最早黒く変色してこびり付いていた。
その広間の中央。唯一殆ど血に染まる事無く存在している立派な椅子。
男は周りに一切目を向けず、真っ直ぐその椅子の前に向かった。
誰も座っていないその椅子の前に男は恭しく跪き、大事に仕舞っていた青い髪飾りを一つ、その上に置いた。
「すみません、遅くなってしまいました、ピオニー」
布の隙間から蜂蜜色の髪を揺らして、男は静かに笑った。
息を切らしながら走り続けて、奴らから、首都から遠ざかる。しかし流れ続ける血に、傷が余りにも深い事は見て取れた。それでも足を止めさせる訳には行かなかった。彼が死んでしまったらこの国はどうなるというんだ。そして、私は。
「……もう、良い」
とうとう歩く事も出来なくなったのか、力無く地面に崩れ落ちる彼を両腕で支える。耳元から聞こえたのは掠れきったそんな小さな一言。それはいつもは強気の彼が漏らした、諦めの言葉だった。
腹部からじわじわと染み込んでくる血は尚も止まる事は無い。無駄だと分かっていたけれど、それでもそれを隠す様に強く抱き締めた。
「何を言っているんですか、エンゲーブまでもう直ぐですから」
「……お前らしく無いぞ、もう足掻いても無駄だと、解っているだろう」
血の気の引いた顔で無理に笑いながら弱々しく突き放される。再び露わになる赤く染まった腹部に、息が詰まった。
「……それでも、私は貴方に死んで欲しくは無い」
そこから目を背けながら小さく呟く。最後の方は聞き取ることなど出来なかっただろう。それでも彼は薄く笑いながら、それを聴いていた。
「お前が変わったのはあの子供の、お陰なんだろうな……」
そう言いながら力の籠もらない腕で頭を軽く撫でられる。嘗てとは違って弱々しいそれは、それでも、前と変わらず優しかった。
その腕が離れていったかと思うと彼は自らの髪を引っ張った。ぶちぶちという音と共に彼の綺麗な金髪が束になって切れる。何をするんだと咎めようとすれば、その手のひらから見えたのはあの青い髪飾り。彼がどんな事があろうと外しはしなかった物だ。
それを彼は己の髪ごと取り外したのだ。
「……なぁジェイド、いつか、この国が平和になったら、これを、この国のどこかに、置いてやってくれ」
そう言って手渡された髪飾りは、微かに傷が付いていたけれど、それでも綺麗な青色をしていた。それを大事に握り締めて再び彼を見れば、彼は満足そうな顔をしていた。
何故こんな時にそんな顔をしていられるのか。
「はは……、最期に看取られる時、は、美女にと、決めて、たんだがな…」
「……っ、止めて、下さい」
「まさか、お前とは、な……美人、に、は、違いない、な……」
「止めろ、ピオニー……もう、喋らないで、っ…」
「……、なくなよ、ジェイ、ド…」
そう言われて初めて自分が泣いていると気付く。力を失って下がり切った腕には涙を拭うことは出来ず、彼は只悲しそうに眺めているだけ。その姿に更に涙は溢れてくる。駄目だ、彼を見なくては。彼の最期を。
「……ジェ…ド、俺、は……」
そこで途切れた言葉が、彼の最期の言葉になった。
静まり返った宮殿の広間の、その中央に跪いていた男はゆっくりと立ち上がる。未だ椅子の上に置かれたままの髪飾りを愛おしく見つめてから、ゆっくりと背を向けた。
「……必ず、この国を元に戻して見せますから、ピオニー」
貴方に相応しいのはやはりその場所でしょう。だから貴方はそこで見ていて下さい。
荒廃した嘗ての帝国の首都を男はゆっくりと後にする。今は他に着る者はいない青い軍服を大きな布で隠しながら。そして彼は近くの街に立ち寄って。
そして、未来は。
選択制お題より。
配布元:Abandon
更新すれば良いだけ、とかは言わないで。
とりあえず5月のログでピオジェ。
秘預言ネタ。
刻々と迫り来る期限。それは決して目に見えるものでは無かったけれど、しかし確実に近付いていた。
嘗て青々と繁っていた木々達は、今は無惨に枯れ果て茶色に変色している。街全体を包んでいる空気も淀んでいて、人の気配など有りはしない。
死んだ様なその街は、正しく人々に捨てられてしまったのだ。嘗ては綺麗だった建造物も今は崩れ果て、その隙間から見えるのは腐敗した死体ばかり。人の物ばかりではない、小動物や魔物でさえも息絶えていた。
その様を二つの赤い目が、布の隙間から見つめていた。
かつりかつりとブーツの音を響かせて進む先は嘗ての宮殿。他と同じ様に崩壊したそこには、やはり生きているものなど他に存在していなかった。
奥に進めば進むほど酷くなる腐敗臭。それに比例する様に増えていく死体。青い装飾で彩られた広間には、それを覆い隠す様に飛び散った多くの血が、最早黒く変色してこびり付いていた。
その広間の中央。唯一殆ど血に染まる事無く存在している立派な椅子。
男は周りに一切目を向けず、真っ直ぐその椅子の前に向かった。
誰も座っていないその椅子の前に男は恭しく跪き、大事に仕舞っていた青い髪飾りを一つ、その上に置いた。
「すみません、遅くなってしまいました、ピオニー」
布の隙間から蜂蜜色の髪を揺らして、男は静かに笑った。
息を切らしながら走り続けて、奴らから、首都から遠ざかる。しかし流れ続ける血に、傷が余りにも深い事は見て取れた。それでも足を止めさせる訳には行かなかった。彼が死んでしまったらこの国はどうなるというんだ。そして、私は。
「……もう、良い」
とうとう歩く事も出来なくなったのか、力無く地面に崩れ落ちる彼を両腕で支える。耳元から聞こえたのは掠れきったそんな小さな一言。それはいつもは強気の彼が漏らした、諦めの言葉だった。
腹部からじわじわと染み込んでくる血は尚も止まる事は無い。無駄だと分かっていたけれど、それでもそれを隠す様に強く抱き締めた。
「何を言っているんですか、エンゲーブまでもう直ぐですから」
「……お前らしく無いぞ、もう足掻いても無駄だと、解っているだろう」
血の気の引いた顔で無理に笑いながら弱々しく突き放される。再び露わになる赤く染まった腹部に、息が詰まった。
「……それでも、私は貴方に死んで欲しくは無い」
そこから目を背けながら小さく呟く。最後の方は聞き取ることなど出来なかっただろう。それでも彼は薄く笑いながら、それを聴いていた。
「お前が変わったのはあの子供の、お陰なんだろうな……」
そう言いながら力の籠もらない腕で頭を軽く撫でられる。嘗てとは違って弱々しいそれは、それでも、前と変わらず優しかった。
その腕が離れていったかと思うと彼は自らの髪を引っ張った。ぶちぶちという音と共に彼の綺麗な金髪が束になって切れる。何をするんだと咎めようとすれば、その手のひらから見えたのはあの青い髪飾り。彼がどんな事があろうと外しはしなかった物だ。
それを彼は己の髪ごと取り外したのだ。
「……なぁジェイド、いつか、この国が平和になったら、これを、この国のどこかに、置いてやってくれ」
そう言って手渡された髪飾りは、微かに傷が付いていたけれど、それでも綺麗な青色をしていた。それを大事に握り締めて再び彼を見れば、彼は満足そうな顔をしていた。
何故こんな時にそんな顔をしていられるのか。
「はは……、最期に看取られる時、は、美女にと、決めて、たんだがな…」
「……っ、止めて、下さい」
「まさか、お前とは、な……美人、に、は、違いない、な……」
「止めろ、ピオニー……もう、喋らないで、っ…」
「……、なくなよ、ジェイ、ド…」
そう言われて初めて自分が泣いていると気付く。力を失って下がり切った腕には涙を拭うことは出来ず、彼は只悲しそうに眺めているだけ。その姿に更に涙は溢れてくる。駄目だ、彼を見なくては。彼の最期を。
「……ジェ…ド、俺、は……」
そこで途切れた言葉が、彼の最期の言葉になった。
静まり返った宮殿の広間の、その中央に跪いていた男はゆっくりと立ち上がる。未だ椅子の上に置かれたままの髪飾りを愛おしく見つめてから、ゆっくりと背を向けた。
「……必ず、この国を元に戻して見せますから、ピオニー」
貴方に相応しいのはやはりその場所でしょう。だから貴方はそこで見ていて下さい。
荒廃した嘗ての帝国の首都を男はゆっくりと後にする。今は他に着る者はいない青い軍服を大きな布で隠しながら。そして彼は近くの街に立ち寄って。
そして、未来は。
選択制お題より。
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