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日記兼短文落書置場..........。

日記だったり短文や絵を載せたり等々何でも賄えなノリで。

2025'05.10.Sat
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2010'10.13.Wed
も一個拍手ログ。
ちょっと狂い系なおっさん。




『死に切れなさに泣き笑い。』


ねぇ、わかってる?これ全部、青年のせいなのよ?
責任とってよ、ねぇ。



鋭い太刀筋は迷うことなく、一点を目指して振り下ろされる。
硬い金属同士がぶつかり合う耳を刺す様な高い音が、暗い神殿内に響き渡った。
その音に互いに怯むことなど無い。
ただ同じその応酬が繰り返されるだけ。

痺れを切らした彼が、力を込めるその一瞬だけを、それだけを狙って無心に応え続けている。

なんて、歪んでるんだろうね、俺は。

その刃がこの偽物の心臓を貫くのを、ずっとずっと夢見ながら偽りの旅を続けて来たのだ。
この青年ならばきっと迷い無く、俺を切り捨ててくれるはずだからと。


振り落としては弾かれ、振り上げてくれば弾く。流石に腕に痺れを感じ始める頃、それまで詰めていた間合いを少し、開ける。それを追いかける様に、力の籠もった一線が、俺目掛けて、放たれて。

避ける事無く、その身に受けた。


驚いた様に見開かれた瞳が、綺麗に、見える。
あれ、だって俺、青年に切られて死んだ筈でしょ。なんでこんなに視界がはっきりしてるのかね。前に死んだ時は直ぐに視界は歪んで消えた筈なのに。
茫然と目の前の光景を眺めていれば、不意に心臓に激痛が走る。偽物の、くせに。

見ればそこは貫かれてはいなくて、ただ一筋の亀裂が走っているだけ。
今もこの俺を生かそうと、光を溢れさせていた。

「……は、はは、なんで……?」

なんで、俺を死なせてくれないの?


あまりに久しぶりの涙は、虚しさと共に無機質な床へと、消えた。



選択制お題より。
配布元:Abandon


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