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日記兼短文落書置場..........。

日記だったり短文や絵を載せたり等々何でも賄えなノリで。

2025'05.10.Sat
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2008'02.13.Wed
今月のマガで流したバレンタイン文です。
甘さは極力控え目にしたつもり。
久しぶりの陛下と大佐。













かちゃり、と開いた扉の先、つい数時間前と変わらない風景に、微かに寂しげな表情を浮かべながら仕事用の机に向かった。
山の様に積まれた、しかし綺麗に纏められた書類を手にしてぴらりと捲れば、遠回しな表現と共に最後に軍事費の増額の承認を求める表現があった。
「拒否権など無いだろうに」
勿論形式的なものであるが、自分の許可を求めるその文に少なからず辟易する。世間は浮かれているだろう今日に、自分はこんな風に部屋に籠もらなければいけないのだ。解っているし覚悟もしていた。しかし、相も変わらず書類以外何もない机を見るとどうしても愚痴を言わずにはいられなかった。
「少しぐらいは良いじゃねえか」
先程見てきた幼なじみの机の上に積まれた山の様なチョコレートを思い出して、一人呟いた。

相も変わらず自分の机には書類以外何もない。




「何度いらしても無理な物は無理です」
痺れを切らして再び幼なじみの部屋に向かえば、予想していた通り自分の要求は拒絶される。
「別に食べたいと言っている訳じゃないぞ。民がわざわざ用意してくれた物を俺が受け取らなくてどうする」
「ですから、爆発物でも入っていたらどうするんですか」
粘りに粘ってみても返答は変わらない。寧ろ呆れたような視線が加えられている。
「貴方も自身の地位をいい加減理解して下さい」
「解っている」
溜め息混じりに返された言葉に即答すれば、不可解だと言わんばかりの顔をされた。いい加減この顔も見飽きたんだかな。
「だからこそ、民を信用しなくてどうするんだ」
真っ直ぐに見つめたままそう言えば、赤い眼が一瞬固まった。それは本当に一瞬だけだ。しかし直ぐ様再び呆れた様に苦笑した。それが本当の呆れではないと気付いていたが。
「……事前の開封には多大な手間が掛かるんですよ」
「それは皇帝権限で何とかしろ」
「………全く、」



更に数時間後。再び己の部屋の扉を開ければ、机の上には山の様な。



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