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日記兼短文落書置場..........。

日記だったり短文や絵を載せたり等々何でも賄えなノリで。

2025'05.10.Sat
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2009'11.20.Fri

『優しい光は誰を殺すのか。』




「優しいわね、青年は」

ぽつりと呟かれたそれは、まるで風に紛れるかの様に消える。見据えた翡翠の瞳は静かに笑っていて、逆にそれが酷く儚げで、恐かった。

まるで何処かに消えてしまいそうで。

抱き締めた身体は小さくて、腕の中にすっぽりと収まってしまう。このまま逃がさなければ、彼は消えずに居てくれるだろうか。

「青年、せーねん………ユーリ」

耳元で何度も俺を呼ぶ彼の声がとても心地よくて、一層腕に力を込めて、彼との距離を縮めた。

「ちょ、ユーリ、苦しいわよ」
「良いからもう少し抱きしめられてろよ、おっさん」

そう言えばたれ気味の目をきょとんとさせてから、笑みを浮かべて俺の頭をぽんぽんと叩いた。まるで子供扱いのそれに不機嫌な顔を向ければ、声を上げて笑った。

「青年もまだまだ甘えたなのね、おっさん安心したわ」
「別に俺は、そんなつもりねぇぞ」

それはまさに子を見つめる親の様で、気恥ずかしいような、悔しいような、そんな気分だった。

「うんうん、分かってるわよ、俺はそんな青年が大好きだもの」


そう言ってにっこり笑う彼は、やっぱりどこか寂しげで、そんな表情を見たく無くて、もう一度強く抱き締める。
耳元で聞こえたのは、溜め息混じりの小さな苦笑だけだった。




選択制お題より。
配布元:Abandon





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