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日記兼短文落書置場..........。

日記だったり短文や絵を載せたり等々何でも賄えなノリで。

2025'05.10.Sat
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2008'05.09.Fri
ロニジュ。
憎み合いも大好き。甘いのも大好き。
私の腐ったテイルズはここから始まったんです(笑



「僕はかつての罪を償う為にここに居るのかもしれない。しかし、後悔はしていないんだ」
彼は、かつては栄華を誇ったしかし今は寂れてしまった生まれ故郷を、どこか遠い眼をしながら眺めて、言った。
それは俺の知っている彼では無く、かの有名な大罪人としての彼のように思える。いや、彼はいつでもこの影を抱き続けていたじゃないか。俺達がその理由を知ったのが随分と遅かっただけで。
「僕はあの選択を悔やんではいないからな」
「……ルーティさんも言ってたぜ、反省はしても後悔はするなってな」
彼女の名前を出すと、彼が少なからず動揺することにも薄々気付いていた。彼女から彼の出生を聞いていたから、理由を知ってからは彼のこの様子も理解出来た。多分この瞬間だけは、彼が彼に戻るのだろう。
「………、そうか」
ほら、呟いたその声は仄かに穏やかだ。そんな彼の年相応の少年の声に安堵しつつも、複雑な感情があるのも事実だ。彼女に話を聞くまで、いや、彼がその人だと知るまで俺の中では彼は極悪人だった。憎んでも憎み足りないほど憎んでいた彼は家族の仇だ。もし生きていて出会う事があったなら、この手で殺してやると思っていたぐらいだ。それなのに、彼が今自分とこうして共に居てくれる事に安堵している。彼が生きていてくれて、いや生き返って来てくれて良かったと、思っている。
「………、どうしたロニ」
「いや、お前で良かったなと思ってな」
物思いに耽って黙り込んでいた俺を怪訝な顔で呼ぶ彼は、どこから見ても彼であって、悪顔の極悪人では決してない。良い意味で裏切られたんだ。
しかし俺の言葉の意図する所から、彼は俺のかつての思いを読み取ったんだろう。彼はとても聡いから。いや、かつて俺が彼に向けて、彼に対する思いを語った事があったから、自ずと分かったのかもしれないけれど。彼は少し悲しそうに、そしてすまなそうに、彼らしくない表情を浮かべていた。
「そんな顔すんなって、後悔はしてないんだろ」
「………、だが僕は」
そう彼は黙り込んでしまう。その様子を静かに眺めながら、ゆっくりと微笑んで頭を撫でてやった。いつもは仮面で隠れている黒髪はさらさらとして柔らかかった。
「昔はどうであれ、今のお前は俺にとって大切な奴になってるんだぜ。お前が落ち込むのを見ていても気分が悪いさ」
「…………、」

綺麗な紫が静かに揺れるのを、俺はとても穏やかな気分で見ていた。




家族の仇を愛してしまった、俺こそが一番、罪深い。




ロニはさらっとくさい台詞を言う、そんな男前(笑

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