2008'04.30.Wed
ぐちゅり、と嫌な音を立てて突き刺さる爪が、手のひらの肉をえぐり出していく。じくじくとした痛みと共に熱を発している。溢れ出した血が爪を真っ赤に染めるがそれが止まることはない。
痛いな、とまるで他人ごとのように眺めていれば不意に腕を押さえられた。
「何してんだ、この馬鹿が」
ずきずきと痛む頭でぼんやりとしながら声のほうを向けば、茶色の髪が目に入る。お節介な顔が慌てた顔をしていた。
「ロックオン、邪魔を…」
「その口調はハレルヤだな」
睨み付けてくる視線は俺を咎めるものばかり。何も知らないお前が俺達の何を知る。
手のひらの痛みは麻痺して来たのか、ただ手のひらが熱くて、真っ赤だった。掴まれた腕を振り払ってまた傷に爪を突き刺す。じくじくとした痛みが再びぶり返してきた。
「止めろ、ハレルヤ」
「うるせえよ、何も知らねえ癖に俺達に干渉するんじゃねえよ」
苛々しながら怒鳴りつければ、俺の剣幕に息をのむ。舌打ちして傷に集中すれば、頭の奥で泣き声が聞こえた。
(ごめん……ごめんね、ハレルヤ)
(何でお前が謝るんだ)
(………ごめん)
(泣くなよ、アレルヤ)
「泣くなよ、ハレルヤ」
気が付けば真っ赤に染まった手のひらは奴の手の中にあって、丁寧に傷を舐められているところだった。
血の味はやっぱり良いもんじゃないな、と苦笑しながら、更に舌を進める奴に呆気にとられる。
「は、何言って」
「何でこんなになるまで我慢するんだ」
言われた言葉の意味が分からない。俺は泣いてないし我慢もしていない。奴は頭がどうかしたんじゃないかと思わずには居られない。
「だから言ってる意味がわからねぇよ」
呆れながらそう呟けば驚いたように俺の顔を見て、悲しそうな顔をした。まるで俺を哀れむような、そんな顔だ。
ずきずきと頭が酷く痛む。今は誤魔化せないその痛みに唇を深く噛んだ。
「だから、止めろって言ってるだろ」
溜め息を一つ静かに吐いて、奴は赤く染まった俺の唇に舌を這わした。そのまま血を吸うように食い付いて貪られる。
じゅるり、と啜るような音の後、間に糸を引きながら唇を離した。
「………、吸血鬼」
「は、意味が分からないんだか」
「だからそれはこっちの台詞だって、の…」
俺の血が奴の唇に付いて真っ赤に染める。なんだかんだ言って整った顔の部類に入る奴の顔にまるで紅を引いたようで、不本意だが綺麗だと、思ってしまう。血の味なんて不味いだけの代物だが、今ばかりは良かったとさえ。
「ハレルヤ」
「………、なんだよ」
真摯な響きで呼ばれた自分の名に、惚けていた意識を引き戻される。さっきまでの自分に恥ずかしくなって、ふてくされたような返事を返した。
「辛くなったら頼って良いんだぞ」
見つめてくる翡翠の瞳に映るのはなんて無様な顔。ああ確かに辛そうな顔してるぜ。
「………、馬鹿みてぇ」
呆れたように返した返事は奴の苦笑を誘うだけで。お前が思ってるのとは違うんだがな。まぁ敢えて言うこともないだろ。
あれだけ酷かった頭痛は今はもう消えた。
最初はグロい作品を書こうとしてた気がします。
でも結局はいつものような感じになりました(苦笑
内容が説明不足だけど、まあ敢えて説明しないということで。
痛いな、とまるで他人ごとのように眺めていれば不意に腕を押さえられた。
「何してんだ、この馬鹿が」
ずきずきと痛む頭でぼんやりとしながら声のほうを向けば、茶色の髪が目に入る。お節介な顔が慌てた顔をしていた。
「ロックオン、邪魔を…」
「その口調はハレルヤだな」
睨み付けてくる視線は俺を咎めるものばかり。何も知らないお前が俺達の何を知る。
手のひらの痛みは麻痺して来たのか、ただ手のひらが熱くて、真っ赤だった。掴まれた腕を振り払ってまた傷に爪を突き刺す。じくじくとした痛みが再びぶり返してきた。
「止めろ、ハレルヤ」
「うるせえよ、何も知らねえ癖に俺達に干渉するんじゃねえよ」
苛々しながら怒鳴りつければ、俺の剣幕に息をのむ。舌打ちして傷に集中すれば、頭の奥で泣き声が聞こえた。
(ごめん……ごめんね、ハレルヤ)
(何でお前が謝るんだ)
(………ごめん)
(泣くなよ、アレルヤ)
「泣くなよ、ハレルヤ」
気が付けば真っ赤に染まった手のひらは奴の手の中にあって、丁寧に傷を舐められているところだった。
血の味はやっぱり良いもんじゃないな、と苦笑しながら、更に舌を進める奴に呆気にとられる。
「は、何言って」
「何でこんなになるまで我慢するんだ」
言われた言葉の意味が分からない。俺は泣いてないし我慢もしていない。奴は頭がどうかしたんじゃないかと思わずには居られない。
「だから言ってる意味がわからねぇよ」
呆れながらそう呟けば驚いたように俺の顔を見て、悲しそうな顔をした。まるで俺を哀れむような、そんな顔だ。
ずきずきと頭が酷く痛む。今は誤魔化せないその痛みに唇を深く噛んだ。
「だから、止めろって言ってるだろ」
溜め息を一つ静かに吐いて、奴は赤く染まった俺の唇に舌を這わした。そのまま血を吸うように食い付いて貪られる。
じゅるり、と啜るような音の後、間に糸を引きながら唇を離した。
「………、吸血鬼」
「は、意味が分からないんだか」
「だからそれはこっちの台詞だって、の…」
俺の血が奴の唇に付いて真っ赤に染める。なんだかんだ言って整った顔の部類に入る奴の顔にまるで紅を引いたようで、不本意だが綺麗だと、思ってしまう。血の味なんて不味いだけの代物だが、今ばかりは良かったとさえ。
「ハレルヤ」
「………、なんだよ」
真摯な響きで呼ばれた自分の名に、惚けていた意識を引き戻される。さっきまでの自分に恥ずかしくなって、ふてくされたような返事を返した。
「辛くなったら頼って良いんだぞ」
見つめてくる翡翠の瞳に映るのはなんて無様な顔。ああ確かに辛そうな顔してるぜ。
「………、馬鹿みてぇ」
呆れたように返した返事は奴の苦笑を誘うだけで。お前が思ってるのとは違うんだがな。まぁ敢えて言うこともないだろ。
あれだけ酷かった頭痛は今はもう消えた。
最初はグロい作品を書こうとしてた気がします。
でも結局はいつものような感じになりました(苦笑
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