2008'05.06.Tue
とっても久しぶりですが、とりあえず14話。UPしたものの続きです。拍手に載せてたのか、もう忘れた(苦笑
なんか文章が古い……。
14
あれからローレライの接触は無くて、アッシュを一人残すのは不安だったけれどこのまま部屋に残っている訳にもいかないし、今の状況を知る必要もあった。まずはここはどこなのかを知らなくてはいけない。
でもここはどこか、なんていかにも怪しい台詞を言って回るわけにもいかなくてどうしようかと思っていたら、ミトスがこの街を案内してくれると言った。幸いなのか俺の考えを汲んでなのか何も聞かずに、だ。
これ以上厚意を受けるのも忍びなかったけれど、何も知らない俺が一人で動き回るより良い。なにより、アッシュは彼に匿って貰っているのだから、彼と離れるわけにもいかなかった。
ミトスに案内された街はウィルガイアと言うそうで、そこには多くの住民がいた。でもどこか生活感は無くて、生物が生きている街と言うより無機質な世界の気がした。まるでレプリカのホドの街みたいだと思ってしまう。
けれど一番驚いたのは、そんな住民達には皆、『羽』が生えている事だった。
「まるで、御伽話の中の世界みたいだ」
思わずそう言ってしまうがすぐに失言に気付いて、謝ろうと咄嗟にミトスを見れば彼は苦笑するばかりで、逆に俺のその反応に困惑しているようだった。
「でも、僕達にはこれが当たり前なんだよね…」
そう言った彼はどこか寂しそうで、俺はそれ以上何も言う事は出来なかった。
その後もミトスは案内をしてくれたけれど、始終俺は無言になってしまいミトスは少し悲しそうな顔をしていた。わざわざ案内させているのは俺なのに、とても申し訳ない気持ちになってしまう。
「ルークはこの街が気持ち悪い?」
不意にミトスが言った問いに、俺は即座に否定してしかし言い澱む。本当のことを言っていいよ、と言うミトスに、どういえばいいのか困ってしまった。
「なんていうか……不思議な感じだ」
曖昧な返事を返してしまって、悪いことしたなと反省する。しかし、俺の考えとは裏腹にミトスは満足そうな笑みを浮かべていた。
「クラトス」
背後から静かに自分の名を呼んだその声色は確かに彼のものだったが、しかしいつもの毒を含んだそれではなく、まるであの頃を思い出させるような柔らかいものだった。
振り返れば今は殆ど見ることの無くなった優しい笑顔を浮かべた、現在の主がそこにいた。
「…ミトス」
「ルーク、彼はクラトス。僕の昔からの仲間なんだ」
そう言って彼が振り返った先にいたのは赤毛の少年。それはこの街で初めて見る者で、人懐っこいような顔で礼をする様はまるで小さな子供のようだった。その姿と素振りの不一致に戸惑うが、それ以上に違和感があった。
なにより、何故ミトスに連れられているのか不思議だった。
「彼は連れの子と一緒に、この街で倒れてたんだよ。それを僕が見つけたんだ」
私の疑問に答えるように言ったミトスの台詞に、更なる疑問が浮かぶ。
「……この街で、か?」
「うん。この街で」
微笑を浮かべながら繰り返すミトスは、更に続けて言った。
「僕には原因は解らないんだ」
この街を統べる唯一の主は、静かな笑顔でそう言った。
なんか文章が古い……。
14
あれからローレライの接触は無くて、アッシュを一人残すのは不安だったけれどこのまま部屋に残っている訳にもいかないし、今の状況を知る必要もあった。まずはここはどこなのかを知らなくてはいけない。
でもここはどこか、なんていかにも怪しい台詞を言って回るわけにもいかなくてどうしようかと思っていたら、ミトスがこの街を案内してくれると言った。幸いなのか俺の考えを汲んでなのか何も聞かずに、だ。
これ以上厚意を受けるのも忍びなかったけれど、何も知らない俺が一人で動き回るより良い。なにより、アッシュは彼に匿って貰っているのだから、彼と離れるわけにもいかなかった。
ミトスに案内された街はウィルガイアと言うそうで、そこには多くの住民がいた。でもどこか生活感は無くて、生物が生きている街と言うより無機質な世界の気がした。まるでレプリカのホドの街みたいだと思ってしまう。
けれど一番驚いたのは、そんな住民達には皆、『羽』が生えている事だった。
「まるで、御伽話の中の世界みたいだ」
思わずそう言ってしまうがすぐに失言に気付いて、謝ろうと咄嗟にミトスを見れば彼は苦笑するばかりで、逆に俺のその反応に困惑しているようだった。
「でも、僕達にはこれが当たり前なんだよね…」
そう言った彼はどこか寂しそうで、俺はそれ以上何も言う事は出来なかった。
その後もミトスは案内をしてくれたけれど、始終俺は無言になってしまいミトスは少し悲しそうな顔をしていた。わざわざ案内させているのは俺なのに、とても申し訳ない気持ちになってしまう。
「ルークはこの街が気持ち悪い?」
不意にミトスが言った問いに、俺は即座に否定してしかし言い澱む。本当のことを言っていいよ、と言うミトスに、どういえばいいのか困ってしまった。
「なんていうか……不思議な感じだ」
曖昧な返事を返してしまって、悪いことしたなと反省する。しかし、俺の考えとは裏腹にミトスは満足そうな笑みを浮かべていた。
「クラトス」
背後から静かに自分の名を呼んだその声色は確かに彼のものだったが、しかしいつもの毒を含んだそれではなく、まるであの頃を思い出させるような柔らかいものだった。
振り返れば今は殆ど見ることの無くなった優しい笑顔を浮かべた、現在の主がそこにいた。
「…ミトス」
「ルーク、彼はクラトス。僕の昔からの仲間なんだ」
そう言って彼が振り返った先にいたのは赤毛の少年。それはこの街で初めて見る者で、人懐っこいような顔で礼をする様はまるで小さな子供のようだった。その姿と素振りの不一致に戸惑うが、それ以上に違和感があった。
なにより、何故ミトスに連れられているのか不思議だった。
「彼は連れの子と一緒に、この街で倒れてたんだよ。それを僕が見つけたんだ」
私の疑問に答えるように言ったミトスの台詞に、更なる疑問が浮かぶ。
「……この街で、か?」
「うん。この街で」
微笑を浮かべながら繰り返すミトスは、更に続けて言った。
「僕には原因は解らないんだ」
この街を統べる唯一の主は、静かな笑顔でそう言った。
PR
Post your Comment
カレンダー
カテゴリー
最新記事
2013
/
05
/
03
(
Fri
)
17
:
37
:
24
)
2013
/
03
/
06
(
Wed
)
22
:
28
:
45
)
2012
/
07
/
27
(
Fri
)
07
:
30
:
39
)
2012
/
04
/
13
(
Fri
)
22
:
29
:
04
)
2012
/
02
/
16
(
Thu
)
02
:
05
:
21
)