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日記兼短文落書置場..........。

日記だったり短文や絵を載せたり等々何でも賄えなノリで。

2025'05.10.Sat
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2008'09.07.Sun
その姿はとても綺麗だった。
それはまるで刻々とその姿を変える、あの空のように。

真っ赤に舞った彼の血が、一面を赤に染めていく。きらきらと舞って消えていく橙色が酷く幻想的だった。力無く倒れていく彼の姿がゆっくりと見え、思わず受け止める。思ったよりは重くなかったけれど、何故かとても重かった。
「な、んで……」
赤い髪に血の気を失った肌の白が酷く映えて、ぞくりと鳥肌が立つ。震えながら発した言葉に返されたのは、とても綺麗な笑みだった。
「終われる、から」
それは今迄に見た事も無いほど綺麗な笑みで、酷く寂しげな笑みだった。彼がこんな寂しげな表情をするとは思いもしなかった。いつも明るく振る舞っていて。
なぁ、俺はお前のこと何も解ってなかったのか。
「………ねぇ、ロイドくん、俺の最期の望み、聞いてくんねぇ、かな」
苦しそうに息を吐きながら、絶え絶えにそう言う彼に、泣きそうになる。弱々しく腕を掴んだ手のひらは、冷たい。導かれたのは、彼の。
「お前の手で、俺を、終わらせて」
なぁ、お前の顔が歪んでよく見えないんだ。

ゆっくりと姿を隠す翡翠の瞳に、力無く落ちていく腕。俺の手のひらはその胸元に添えられたまま。静寂が辺りを包み込む。
「馬鹿、野郎……」
彼の胸元で小さく光るその石に静かに切っ先を突き付けた。身体はこれ以上傷付けないように、注意を払ってゆっくりと力を込める。

ぱきり、と小さな音を立てて、その石は割れた。中からきらきらと橙色が零れ落ちて、やがて、消える。


彼の最期は、まるで刻々と変わる空のようにとても綺麗で、儚くて、とても。
残酷だった。






流れを読まずにロイゼロです。
デカダンお題始めた当初からこの題はロイゼロでゼロスの最期だと決めてました。
ただここの所ヴェスに偏り気味なので、万が一この題をヴェスで使ったりしないように先に書いちゃいました。
まあもう残りも10切ったし、良いでしょ。

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