2010'04.27.Tue
メールに埋もれてました(苦笑
なんで上げずに送信済みになってたんだろう不思議。
ED後のユリレイだったと思う。
『飛べないはずがない。』
目の前を飛び去っていく黒い影。残されたのは無残な食べ物の残骸達。道端に散らばったそれらは、いつかの自分だろうか。
その一つを薄汚れた靴で踏みつければ、ぐしゃりと嫌な音を立てて、潰れた。
「……何、してんのよ」
「おーおかえり、おっさん」
「そうじゃなくて……」
目の前の光景は何だろう。夢か、この年で白昼夢を見るのか俺は。流石にそれは嫌だなあ。
人が現実逃避に頭をぐるぐるさせているというのに、目の前の彼は呑気に机にケーキを広げている。ほらまた一つが口の中へと消えていく。くちゃり、と可愛い音を立てて柔らかい生地が潰れた。溢れたクリームを指で拭う。
なんて幸せそうな顔してんのかね。でもその前にそれ、俺様の机なんだけど。ケーキも天を射る矢の若い奴らにあげる為に買ってきた奴で。
「なんだ、欲しいのかよおっさん」
「んなわけ無いでしょ、こんなの食ったら胃もたれして仕方ないわ」
「じゃあそう睨むなよ、レイヴン」
やっぱりこれは夢なんだろう、きっと。でなければいつもは流石にいろいろと弁える青年が、こんなにやりたい放題するわけが無い。それにしても何でこんな夢を見るのだろう、そんなに俺は疲れているのか。
「………さっき嫌なもん見たせいかね、これは」
「何ずっとぶつぶつ言ってんだよ、せっかくの土産も食おうとしねぇし」
「……は、土産?」
「このケーキとそこの酒だよ」
ま、ケーキは俺用だけど。と更に指を伸ばすその横にはいかにも上等な酒瓶が一つ。あれれ、と思ってよくよく見れば机の影には見慣れた紙箱が隠れていた。
もしかしなくても、昼間買ってきたケーキの箱に間違いない。
「あー……ほんとねぇ」
「何だよおっさん、俺が人のもんに手出す訳ねぇだろ」
「そうよねぇ、やっぱり疲れてんのかしらね……」
なんだか謎が解けた気がして一気に肩の力が抜けた。苦笑する青年の顔を見ながら、酒瓶の栓に手を伸ばす。
「おい、待てって」
「何よ青年、これお土産なんでしょ?」
「カロル達も後から来るってのに、先に一人で出来上がってるつもりか?」
「もう結構夜も遅いわよ?なのにこれからみんな来るって?」
窓から見える空はもう真っ暗だ。綺麗なお月様が顔を覗かせている。それを一瞬眺めてから青年を見れば、ケーキの最後の一切れを口に放り込んだ所だった。指を一舐めしてから俺を眺める姿に、本当に甘いもの好きねぇ、と苦笑が零れた。
青年はただ笑っている。
「おっさんはそれだけ愛されてんだよ、いい加減気付けって」
ぐしゃりと音を立てて潰された空き箱は、机の横のゴミ箱に綺麗に収まっていた。
選択制お題より。
配布元:Abandon
なんで上げずに送信済みになってたんだろう不思議。
ED後のユリレイだったと思う。
『飛べないはずがない。』
目の前を飛び去っていく黒い影。残されたのは無残な食べ物の残骸達。道端に散らばったそれらは、いつかの自分だろうか。
その一つを薄汚れた靴で踏みつければ、ぐしゃりと嫌な音を立てて、潰れた。
「……何、してんのよ」
「おーおかえり、おっさん」
「そうじゃなくて……」
目の前の光景は何だろう。夢か、この年で白昼夢を見るのか俺は。流石にそれは嫌だなあ。
人が現実逃避に頭をぐるぐるさせているというのに、目の前の彼は呑気に机にケーキを広げている。ほらまた一つが口の中へと消えていく。くちゃり、と可愛い音を立てて柔らかい生地が潰れた。溢れたクリームを指で拭う。
なんて幸せそうな顔してんのかね。でもその前にそれ、俺様の机なんだけど。ケーキも天を射る矢の若い奴らにあげる為に買ってきた奴で。
「なんだ、欲しいのかよおっさん」
「んなわけ無いでしょ、こんなの食ったら胃もたれして仕方ないわ」
「じゃあそう睨むなよ、レイヴン」
やっぱりこれは夢なんだろう、きっと。でなければいつもは流石にいろいろと弁える青年が、こんなにやりたい放題するわけが無い。それにしても何でこんな夢を見るのだろう、そんなに俺は疲れているのか。
「………さっき嫌なもん見たせいかね、これは」
「何ずっとぶつぶつ言ってんだよ、せっかくの土産も食おうとしねぇし」
「……は、土産?」
「このケーキとそこの酒だよ」
ま、ケーキは俺用だけど。と更に指を伸ばすその横にはいかにも上等な酒瓶が一つ。あれれ、と思ってよくよく見れば机の影には見慣れた紙箱が隠れていた。
もしかしなくても、昼間買ってきたケーキの箱に間違いない。
「あー……ほんとねぇ」
「何だよおっさん、俺が人のもんに手出す訳ねぇだろ」
「そうよねぇ、やっぱり疲れてんのかしらね……」
なんだか謎が解けた気がして一気に肩の力が抜けた。苦笑する青年の顔を見ながら、酒瓶の栓に手を伸ばす。
「おい、待てって」
「何よ青年、これお土産なんでしょ?」
「カロル達も後から来るってのに、先に一人で出来上がってるつもりか?」
「もう結構夜も遅いわよ?なのにこれからみんな来るって?」
窓から見える空はもう真っ暗だ。綺麗なお月様が顔を覗かせている。それを一瞬眺めてから青年を見れば、ケーキの最後の一切れを口に放り込んだ所だった。指を一舐めしてから俺を眺める姿に、本当に甘いもの好きねぇ、と苦笑が零れた。
青年はただ笑っている。
「おっさんはそれだけ愛されてんだよ、いい加減気付けって」
ぐしゃりと音を立てて潰された空き箱は、机の横のゴミ箱に綺麗に収まっていた。
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