2011'10.12.Wed
ジュアル馴れ初めじゃないけど、そんな感じのつもり。
暗いしなんか病んでるし暴力表現ありなんで注意。例の如くエロくはない(笑
いつもなら星つけないレベルだけど新規さん多いんで。多分ログ収容時には星消えます(苦笑
避けきれなかった拳が頭に当たり、思わず地面へと崩れ落ちた。ぐらぐらと揺れる視界に、朧気な黒い影が映る。気が付けば押し倒されたまま、為す術もなく殴られ続けていた。情けない、ただそれだけが頭をぐるぐると回る。無性に泣きたい気分だ。
そんな俺を知ってか知らずか、目の前の少年は琥珀の瞳に憎悪を滲ませながら拳を振り続けている。その表情に思わずぞくり、と背筋が震えた。何故か、なんて考えたくもない。浮かび上がったその感情に、今は気付かない振りをするしかなかった。
自分自身を誤魔化す様に、そんな顔も出来るんだな、などとどこか遠くで思いながら、虚しい痛みにただ耐えていた。
歪んでいる。いや、歪んでしまったと気付いたのは何時だっただろう。目の前で揺れる琥珀の瞳に、あの色を、感情を探すようになったのは。
あの時以降芽生えてしまった感情をひた隠しにしながら、あの旅を続けていた。けれど隠せば隠すほど、自分の中で渦巻くそれは大きくなっていって、気が付けば無意識でも彼を目で追うようにまでなっていた。
知らぬ間に大人になってしまった彼に、未だに大人になれずにいる俺が縋るなんて、なんて情けない話だろうか。けれどあの瞳に、俺にはないあの強さに、縋りたくて仕方なかった。
歪んでる。歪んでしまっている。こんな俺は、許される事は無いんだろうな。
「一体、何を考えてるの?」
冷たい琥珀色が俺を突き刺して、冷めた言葉を吐く。背筋が震えるのを堪えながら、その色を眺めていた。
「アルヴィン、答えてよ」
歪む瞳がとても綺麗で、ただぼんやりとそれを眺めていれば、痺れを切らしたのか、殴る事に慣れた細いけれどごつごつした指が首筋を覆う。ねぇ、と問う声に合わせて、それはゆっくりと力が込められていった。
「は、…じゅ、…ど…!」
酸素を求めてぱくぱくと口を開く姿はさぞかし滑稽な事だろう。でも彼の指が触れるこの瞬間は、とても貴重なのだ。彼の視線が俺に向けられる唯一の瞬間でもある。
例え理解されなくても、この時確かに俺は幸福なんだ。たとえ報われなくても、歪んでいても、俺は。
意識が途絶えるその瞬間、一瞬だけ見えた彼の顔はまるで泣き出しそうな顔だった。
涙を滲ませながら気絶した彼に、小さく溜め息を吐く。頬に零れた涙を優しく拭って、触れるようなキスを贈った。
彼が歪んだのは何時だろう。僕が歪んだのは何時だろう。
気が付けば彼はとても脆くなっていて、自分無しでは生きられないほど依存していた。何が彼をそうしたのか、僕には分からない。ただ縋るような視線が日に日に増えていったのは確かだった。
彼は酷く弱かった。失うことを怖れて、それでいて触れることも怖れていて。
縋り付く指が触れる前に空を切って離れる。その度に泣きそうな顔をしておきながら、その先に進もうとはしない。
気が付けば、そんな彼の手を無理矢理掴んで、組み敷いて、怖れていた触れ合いを強要していた。
その先にあったのは、歪んでしまった関係だけだ。
こんなもの、望んでなんか、居ないのに。
「ねぇ、本当に、これで幸せなの?……アルヴィン」
決して届きはしないその呟きは、虚しく消えた。
選択制お題より。
配布元:Abandon
狙ったつもりはないのに2人ともちょっと病んでしまった・・・。
病んでる話が好きなんですすいません(苦笑
暗いしなんか病んでるし暴力表現ありなんで注意。例の如くエロくはない(笑
いつもなら星つけないレベルだけど新規さん多いんで。多分ログ収容時には星消えます(苦笑
避けきれなかった拳が頭に当たり、思わず地面へと崩れ落ちた。ぐらぐらと揺れる視界に、朧気な黒い影が映る。気が付けば押し倒されたまま、為す術もなく殴られ続けていた。情けない、ただそれだけが頭をぐるぐると回る。無性に泣きたい気分だ。
そんな俺を知ってか知らずか、目の前の少年は琥珀の瞳に憎悪を滲ませながら拳を振り続けている。その表情に思わずぞくり、と背筋が震えた。何故か、なんて考えたくもない。浮かび上がったその感情に、今は気付かない振りをするしかなかった。
自分自身を誤魔化す様に、そんな顔も出来るんだな、などとどこか遠くで思いながら、虚しい痛みにただ耐えていた。
歪んでいる。いや、歪んでしまったと気付いたのは何時だっただろう。目の前で揺れる琥珀の瞳に、あの色を、感情を探すようになったのは。
あの時以降芽生えてしまった感情をひた隠しにしながら、あの旅を続けていた。けれど隠せば隠すほど、自分の中で渦巻くそれは大きくなっていって、気が付けば無意識でも彼を目で追うようにまでなっていた。
知らぬ間に大人になってしまった彼に、未だに大人になれずにいる俺が縋るなんて、なんて情けない話だろうか。けれどあの瞳に、俺にはないあの強さに、縋りたくて仕方なかった。
歪んでる。歪んでしまっている。こんな俺は、許される事は無いんだろうな。
「一体、何を考えてるの?」
冷たい琥珀色が俺を突き刺して、冷めた言葉を吐く。背筋が震えるのを堪えながら、その色を眺めていた。
「アルヴィン、答えてよ」
歪む瞳がとても綺麗で、ただぼんやりとそれを眺めていれば、痺れを切らしたのか、殴る事に慣れた細いけれどごつごつした指が首筋を覆う。ねぇ、と問う声に合わせて、それはゆっくりと力が込められていった。
「は、…じゅ、…ど…!」
酸素を求めてぱくぱくと口を開く姿はさぞかし滑稽な事だろう。でも彼の指が触れるこの瞬間は、とても貴重なのだ。彼の視線が俺に向けられる唯一の瞬間でもある。
例え理解されなくても、この時確かに俺は幸福なんだ。たとえ報われなくても、歪んでいても、俺は。
意識が途絶えるその瞬間、一瞬だけ見えた彼の顔はまるで泣き出しそうな顔だった。
涙を滲ませながら気絶した彼に、小さく溜め息を吐く。頬に零れた涙を優しく拭って、触れるようなキスを贈った。
彼が歪んだのは何時だろう。僕が歪んだのは何時だろう。
気が付けば彼はとても脆くなっていて、自分無しでは生きられないほど依存していた。何が彼をそうしたのか、僕には分からない。ただ縋るような視線が日に日に増えていったのは確かだった。
彼は酷く弱かった。失うことを怖れて、それでいて触れることも怖れていて。
縋り付く指が触れる前に空を切って離れる。その度に泣きそうな顔をしておきながら、その先に進もうとはしない。
気が付けば、そんな彼の手を無理矢理掴んで、組み敷いて、怖れていた触れ合いを強要していた。
その先にあったのは、歪んでしまった関係だけだ。
こんなもの、望んでなんか、居ないのに。
「ねぇ、本当に、これで幸せなの?……アルヴィン」
決して届きはしないその呟きは、虚しく消えた。
選択制お題より。
配布元:Abandon
狙ったつもりはないのに2人ともちょっと病んでしまった・・・。
病んでる話が好きなんですすいません(苦笑
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