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日記兼短文落書置場..........。

日記だったり短文や絵を載せたり等々何でも賄えなノリで。

2025'05.10.Sat
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2010'08.20.Fri
まだログ続きます。今度は名ばかりのブレギルで(笑





「ヤァ、ギルバート君、お勤めご苦労さまデス」

そう唐突に背後から聞こえた、独特な口調の聞き慣れた声。自然と皺の寄る眉間を隠すこと無く、不機嫌をそのままに振り向けば、やはり想像通りの男がそこに居た。

「全く、なんて顔してるんですカ」

自分の顔を見るやくすくすと笑いながらそう言い放つ。お前のせいだ、と喉元まで出掛かった言葉をどうにか飲み込み、目の前でにやにやと笑い続ける男を睨み付けた。

「……、何の用だ」
「随分と素っ気無くなっちゃいましたネェ、あぁ私は悲しいですヨ」
「ふざけるだけなら、」

「血の匂いには、もう慣れたかい?」

目の前の男はそう言って赤い隻眼を細めて静かに笑う。飲まれる様なその赤に身動き一つ取れずにいれば、伸びてきた腕がいつの間にか己の小銃を手にしていて、男はそれを嘲笑うかの様に弄んでいた。

「おいっ…」
「こんな物を普通に持ち歩く様になったんですもんネ」

でもこんな簡単に私如きに取られるなんて、やっぱり甘ちゃんデスヨ。
そう言って手にしていた小銃を投げ返してくる。それをすかさず受け取って、何をするんだと男を見れば、蔑む様な視線が向けられていた。

「…一体何がしたいんだ」
「血に染まってその身を溝ネズミの世界に落としても、そんな風に純粋でいられる君が、私には」

「薄気味悪くて仕方が無いな」

赤い眼の冷たい視線が突き刺さり、思わずそれから目を逸らす。けれどそれに相反する様に、伸ばされた白い指は優しく自分の頬を撫でていた。

「……っ、ブレイク」
「でもそれが、君の良い所なんだろうけどネ」

優しく呟かれたその言葉に、再び目の前の男を見れば、そこには見た事も無い様な優しい笑みを浮かべる男が居て。

「私には到底真似できないヨ」

全てを白に染めた男は、そう小さく呟いて、静かにそこから去っていった。



「………はぁー…」

男の姿が視界に映らなくなってから、堪えていたものを吐き出す様に、溜め息を一つ。
指が触れた頬は、微かに熱を帯びていて、それが何だか癪で仕方がない。けれど決して嫌な訳では無く、そこを撫でながら小さく笑った。
けれど。

「オレは、純粋なんかじゃ、無いのに」

去り際の白はとても綺麗で、それこそ純粋という言葉に相応しいと、そう思えるのに。

あの優しい笑みを思い出しながら、また一つ小さな溜め息を吐いた。






選択制お題より。
配布元:Abandon


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