2010'10.13.Wed
拍手文ようやく更新したのでログ載せます。
甘ったるいロイゼロ目指してました!(笑
『覗き込んでしまえば終われる。』
舌先で転がすその砂糖の塊はころころとかからからとか軽快な音を立てていた。じわじわと咥内に広がる甘ったるい味が、何とも安っぽくてそれでいて何だか安心する。子供はこうやって甘味を覚えていくのだなあと、何気なく考えていた。
目の前には如何にも子供という彼がいた。無論、それは見た目だけの話で、人間としては俺よりもずっと出来ているのだけど、頭以外。そんな彼を眺めていたら、ふと、悪戯がしたくなった。
「ロイドくん」
一言、彼の名前だけを呼んで、彼の視線をこちらに向ける。剣の手入れをしていた手を止め、真っ直ぐに俺を見ていた。
「なんだよ、ゼロス」
怪訝な声を上げる彼を、ちょいちょいと指先で誘う。仕方無さ気に腰を上げて近付いてくる彼の手を掴んで、引き寄せた。
がちり、と可愛げの無い音を立てて、飴玉が歯にぶつかる。それを無理矢理舌で押し込めば、彼の咥内へと転がっていった。
少し離れれば、驚いた様に目を見開いている彼の顔が見える。その様子にしてやったり、と笑みを浮かべていれば、今度はがっちりと腕を掴まれた。
「え、ちょ……ロイド君?」
ぐらりと視界が揺れて、気が付けば押し倒されていて、下から彼を見上げるような体勢になっていた。
見上げた彼の顔は酷く悪戯に歪んでいて、嫌な予感に冷や汗が落ちる。身動きはやはり取れそうにない。見た目とは違って、彼の腕力は馬鹿にならないのだから。
がり、と先程の飴玉が彼の歯で割られる音が頭上から聞こえる。そのまま咀嚼するような音が続けて聞こえてきて、この押さえられた腕はどうするつもりなんだろうとぼんやりと考えていた。
不意に掴んでいた腕が離された。身動きが取れる様になったかと思えば、今度は頭を押さえられる。
そのまま咥内に流れ込んで来たのは、さっきまで彼が咀嚼していた飴玉だった液体。甘ったるく広がる味に驚きが隠せない。
「……さいってー」
「不意打ちしたお返しだぜ」
口を押さえながら彼を見上げてそう言えば、笑いながら意地悪く台詞を吐かれる。不意にその時の表情に、目が離せなくなった。顔が熱くなるのが分かる。
「どうしたんだよゼロス、いきなり黙って」
「………なんでも、ねえよ」
その表情があまりに格好良かった、なんて、そんな事言える筈が無かった。
選択制お題より。
配布元:Abandon
甘ったるいロイゼロ目指してました!(笑
『覗き込んでしまえば終われる。』
舌先で転がすその砂糖の塊はころころとかからからとか軽快な音を立てていた。じわじわと咥内に広がる甘ったるい味が、何とも安っぽくてそれでいて何だか安心する。子供はこうやって甘味を覚えていくのだなあと、何気なく考えていた。
目の前には如何にも子供という彼がいた。無論、それは見た目だけの話で、人間としては俺よりもずっと出来ているのだけど、頭以外。そんな彼を眺めていたら、ふと、悪戯がしたくなった。
「ロイドくん」
一言、彼の名前だけを呼んで、彼の視線をこちらに向ける。剣の手入れをしていた手を止め、真っ直ぐに俺を見ていた。
「なんだよ、ゼロス」
怪訝な声を上げる彼を、ちょいちょいと指先で誘う。仕方無さ気に腰を上げて近付いてくる彼の手を掴んで、引き寄せた。
がちり、と可愛げの無い音を立てて、飴玉が歯にぶつかる。それを無理矢理舌で押し込めば、彼の咥内へと転がっていった。
少し離れれば、驚いた様に目を見開いている彼の顔が見える。その様子にしてやったり、と笑みを浮かべていれば、今度はがっちりと腕を掴まれた。
「え、ちょ……ロイド君?」
ぐらりと視界が揺れて、気が付けば押し倒されていて、下から彼を見上げるような体勢になっていた。
見上げた彼の顔は酷く悪戯に歪んでいて、嫌な予感に冷や汗が落ちる。身動きはやはり取れそうにない。見た目とは違って、彼の腕力は馬鹿にならないのだから。
がり、と先程の飴玉が彼の歯で割られる音が頭上から聞こえる。そのまま咀嚼するような音が続けて聞こえてきて、この押さえられた腕はどうするつもりなんだろうとぼんやりと考えていた。
不意に掴んでいた腕が離された。身動きが取れる様になったかと思えば、今度は頭を押さえられる。
そのまま咥内に流れ込んで来たのは、さっきまで彼が咀嚼していた飴玉だった液体。甘ったるく広がる味に驚きが隠せない。
「……さいってー」
「不意打ちしたお返しだぜ」
口を押さえながら彼を見上げてそう言えば、笑いながら意地悪く台詞を吐かれる。不意にその時の表情に、目が離せなくなった。顔が熱くなるのが分かる。
「どうしたんだよゼロス、いきなり黙って」
「………なんでも、ねえよ」
その表情があまりに格好良かった、なんて、そんな事言える筈が無かった。
選択制お題より。
配布元:Abandon
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2010'10.11.Mon
決めた期限まであと4日なんですが2回目でいきなり遅刻しそうです(苦笑
まぁ今回は拍手文なんで軽めに書いてはいるんですが……。
やっぱり間を置くとわからなくなるな(苦笑
そういえば随分前に劇場版00見て来ました。
思うところは沢山あったんですが、2回目を見ようと思っていたので殆ど忘れました(苦笑
ただハレルヤのアクロバットシーンだけは覚えてます。寧ろそこだけのために2回目を見たい(笑
あとグレイセスfの体験版をやりました。リチャードとソフィの戦闘後の会話がタッチありの和やかなものになってて、ほっとしました(笑
でも65Lvも掛かるんだなぁあそこまで、と思うとなんとも(苦笑
とりあえず映像が綺麗になっていたので、期待して12月まで待ちますよ。
つーか…流石にログ移さないとなぁ……(遠い目
まぁ今回は拍手文なんで軽めに書いてはいるんですが……。
やっぱり間を置くとわからなくなるな(苦笑
そういえば随分前に劇場版00見て来ました。
思うところは沢山あったんですが、2回目を見ようと思っていたので殆ど忘れました(苦笑
ただハレルヤのアクロバットシーンだけは覚えてます。寧ろそこだけのために2回目を見たい(笑
あとグレイセスfの体験版をやりました。リチャードとソフィの戦闘後の会話がタッチありの和やかなものになってて、ほっとしました(笑
でも65Lvも掛かるんだなぁあそこまで、と思うとなんとも(苦笑
とりあえず映像が綺麗になっていたので、期待して12月まで待ちますよ。
つーか…流石にログ移さないとなぁ……(遠い目
2010'10.01.Fri
更新日は1日と15日で統一しようと思います。間に合えばね(苦笑
間髪入れずに走り出す背中を追い掛けて、あいつが敵に切り込んだ瞬間に足を止めて詠唱を始める。攻撃のリズムを見極めて一連の動作が終わる瞬間に、待機していた魔術を一気に敵に放った。
反撃しようと身を構えた魔物は不意の攻撃に為す術も無く切り裂かれる。一瞬の断末魔の叫びの後、辺りは静寂に包まれた。
それを打ち消すような溜め息が一つ。安堵を含んだそれは、一瞬にして緊迫していた空間を柔らかなものにする。それぞれが構えていた武器を下げ始めて、倣う様に俺も握っていた短剣を鞘へと戻した。
「さっきはサンキューな、ゼロス!」
「なーに、俺様に掛かればあれぐらい簡単だっての」
鞘と柄がカチンと音を立てるのとほぼ同時に、振り向いたロイドの口から嬉しそうな大きな声が響く。不自然にならない程度に笑みを浮かべながら、堂々としたその礼を軽く流した。
別に何て事は無い、これは只のお仲間ごっこだ。
元々が甘ちゃんの集まりなんだろう。気を許した素振りを見せれば警戒なんてすぐに解いてしまう。こいつらにはこのお仲間ごっこだけで充分なんだ。余計な気苦労など、必要無い。後は適当に情報を貰ってあちらさんに流すだけ。
たったそれだけ。何て事は無い。
「ゼロスッ……!!」
それはほんの少しの不注意から来る大きな失態だった。
詠唱直後の硬直から抜け出す直前の隙に、構えていた短剣を魔物の腕に弾き飛ばされたのだ。
途端に無防備になる右腕。とっさに盾で庇うもこれでは攻撃が出来やしない。魔術を放とうにもTPは先程の魔術で底を着いてしまった。最後の一匹だからと甘く見ていたのが仇となった。
仕方無く距離を取って、飛ばされた短剣の姿を探す。ロイドに襲いかかる奴の足元に転がっているのが見えた。後退するロイドを追い掛けて奴がそこから離れた隙に、その短剣へと手を伸ばす。瞬間。
大きな叫び声と共に、背後から魔物が襲いかかってきた。
やばい、と思ったその時、更なる大きな叫び声を上げて魔物が崩れ落ちる。その先には剣を振り下ろしたロイドがいた。
「ったく、大丈夫か、ゼロス」
「……お、おう」
そう答えてから拾い上げた短剣の泥を払って、鞘へとしまう。安心した様なロイドの溜め息が聞こえたかと思えば、どさり、と音がして。
背中を真っ赤に染めたロイドが、そこに倒れていた。
「とりあえず、容態は落ち着いたわ。それにしても二人して居なくなったかと思えば、一体何をしていたのかしら?」
呆れと安堵が入り混じった溜め息を吐きながら、リフィルはそう呟いた。それを苦々しく聞いていれば、横になっていたロイドの口が開く。
「……ごめん、先生。俺がゼロスを手合わせに誘ったんだよ」
「あなたは安静にしていてよ、ロイド。……そうなの、ゼロス?」
「……まあ、な」
問い詰める視線に堪え切れずに、瞳を逸らしてそう答えた。その様子を見るや否や、リフィルは立ち上がって真っ直ぐに見つめてきた。
「……そう、それはロイドが悪い事をしたわね。彼の担任として謝らせてもらうわ、ごめんなさい」
「………、」
「なんであの時助けたんだ?あんな傷負っておいてよ」
リフィルが部屋を出て行けば、二人だけが残ったそこには静寂が訪れて、それを打ち消す様にそう問い掛けた。すると、きょとんとした顔をこっちに向けながら、ロイドは答える。
「なんで、って仲間なんだから、当たり前だろ?」
さも当然と言わんばかりのその言葉。さっきのリフィルとはあまりに対照的なそれに、思わず笑いが零れてしまった。
「な、なんだよっ」
「いーや、何でもねぇよ」
そうだ。こいつは甘ちゃんじゃねぇか。こんな俺も仲間だと思って、こうして体張って守ったりして。
馬鹿じゃねぇの。でも、悪くねぇな。
このお仲間ごっこも、もう少しだけ続けてやろうじゃないか。
選択制お題より。430番。
配布元:Abandon
ということでロイゼロ馴れ初めの様なもの(笑
制約初挑戦は1日より前にと、どうにか2週間弱で書けました。これが続けばいいんだけど。そしてこの制約使用のお題は番号も一応載せることにしました。
次のお題番号は下二桁「69」で行きます。
間髪入れずに走り出す背中を追い掛けて、あいつが敵に切り込んだ瞬間に足を止めて詠唱を始める。攻撃のリズムを見極めて一連の動作が終わる瞬間に、待機していた魔術を一気に敵に放った。
反撃しようと身を構えた魔物は不意の攻撃に為す術も無く切り裂かれる。一瞬の断末魔の叫びの後、辺りは静寂に包まれた。
それを打ち消すような溜め息が一つ。安堵を含んだそれは、一瞬にして緊迫していた空間を柔らかなものにする。それぞれが構えていた武器を下げ始めて、倣う様に俺も握っていた短剣を鞘へと戻した。
「さっきはサンキューな、ゼロス!」
「なーに、俺様に掛かればあれぐらい簡単だっての」
鞘と柄がカチンと音を立てるのとほぼ同時に、振り向いたロイドの口から嬉しそうな大きな声が響く。不自然にならない程度に笑みを浮かべながら、堂々としたその礼を軽く流した。
別に何て事は無い、これは只のお仲間ごっこだ。
元々が甘ちゃんの集まりなんだろう。気を許した素振りを見せれば警戒なんてすぐに解いてしまう。こいつらにはこのお仲間ごっこだけで充分なんだ。余計な気苦労など、必要無い。後は適当に情報を貰ってあちらさんに流すだけ。
たったそれだけ。何て事は無い。
「ゼロスッ……!!」
それはほんの少しの不注意から来る大きな失態だった。
詠唱直後の硬直から抜け出す直前の隙に、構えていた短剣を魔物の腕に弾き飛ばされたのだ。
途端に無防備になる右腕。とっさに盾で庇うもこれでは攻撃が出来やしない。魔術を放とうにもTPは先程の魔術で底を着いてしまった。最後の一匹だからと甘く見ていたのが仇となった。
仕方無く距離を取って、飛ばされた短剣の姿を探す。ロイドに襲いかかる奴の足元に転がっているのが見えた。後退するロイドを追い掛けて奴がそこから離れた隙に、その短剣へと手を伸ばす。瞬間。
大きな叫び声と共に、背後から魔物が襲いかかってきた。
やばい、と思ったその時、更なる大きな叫び声を上げて魔物が崩れ落ちる。その先には剣を振り下ろしたロイドがいた。
「ったく、大丈夫か、ゼロス」
「……お、おう」
そう答えてから拾い上げた短剣の泥を払って、鞘へとしまう。安心した様なロイドの溜め息が聞こえたかと思えば、どさり、と音がして。
背中を真っ赤に染めたロイドが、そこに倒れていた。
「とりあえず、容態は落ち着いたわ。それにしても二人して居なくなったかと思えば、一体何をしていたのかしら?」
呆れと安堵が入り混じった溜め息を吐きながら、リフィルはそう呟いた。それを苦々しく聞いていれば、横になっていたロイドの口が開く。
「……ごめん、先生。俺がゼロスを手合わせに誘ったんだよ」
「あなたは安静にしていてよ、ロイド。……そうなの、ゼロス?」
「……まあ、な」
問い詰める視線に堪え切れずに、瞳を逸らしてそう答えた。その様子を見るや否や、リフィルは立ち上がって真っ直ぐに見つめてきた。
「……そう、それはロイドが悪い事をしたわね。彼の担任として謝らせてもらうわ、ごめんなさい」
「………、」
「なんであの時助けたんだ?あんな傷負っておいてよ」
リフィルが部屋を出て行けば、二人だけが残ったそこには静寂が訪れて、それを打ち消す様にそう問い掛けた。すると、きょとんとした顔をこっちに向けながら、ロイドは答える。
「なんで、って仲間なんだから、当たり前だろ?」
さも当然と言わんばかりのその言葉。さっきのリフィルとはあまりに対照的なそれに、思わず笑いが零れてしまった。
「な、なんだよっ」
「いーや、何でもねぇよ」
そうだ。こいつは甘ちゃんじゃねぇか。こんな俺も仲間だと思って、こうして体張って守ったりして。
馬鹿じゃねぇの。でも、悪くねぇな。
このお仲間ごっこも、もう少しだけ続けてやろうじゃないか。
選択制お題より。430番。
配布元:Abandon
ということでロイゼロ馴れ初めの様なもの(笑
制約初挑戦は1日より前にと、どうにか2週間弱で書けました。これが続けばいいんだけど。そしてこの制約使用のお題は番号も一応載せることにしました。
次のお題番号は下二桁「69」で行きます。
2010'09.10.Fri
2010'09.10.Fri
それは、唐突に、訪れた。
金属が肉を斬る音や魔術の爆音が響き合う中、大きく布が地面を擦る音が響く。誰かが倒れたその音に、戦っていた皆の視線が一瞬だけ音の出所に向かう。
「レイヴンッ!!」
誰かの悲痛な叫びが、そこに響いた。
「なーに、そんなに心配されるとおっさん照れるんだけど」
固いベッドの寝心地の悪さに目を覚ませば、神妙な顔をした皆が自分を取り囲む様に見つめていた。直前の記憶が戦闘中で終わっている事から、ああ、倒れたのか、と他人事の様に考える。
あまりに皆が真剣に自分を眺めているものだから、その空気を壊す様に、敢えてそんな軽口を叩いた。
「っ、いったー!リタっちいきなりは酷っ」
途端返ってきたのはばしん、という鈍い音と平手打ち。その相手を見上げる様に見れば、涙を目に溜めながら睨み付けている少女と目があった。いつも気丈に振る舞う彼女のその表情に、準備していた軽口の続きを失う。ゆっくりと周りを見渡せば、己の失態の大きさを改めて知る事になった。
「……見たのね、これ」
胸元に視線を向けながらそう言えば、誰かが息を飲む音がする。その様子に苦笑しながら、極力落ち着いた声で言葉を続けた。
「見た目はあれ、だけど、結構平気なのよ?」
「嘘付くんじゃ無いわよ」
それを遮る様に発せられたのは先程の彼女の声で、睨み付ける視線はそのままに、強い語気でそう言い切られる。
「魔導器との接続部が壊死しかけてるじゃないっ……こんな状態で動くなんて自殺行為よっ!!」
静まり返った夜の町のひんやりと冷えた空気は少し肌寒かった。今は包帯でぐるぐる巻きにされた左胸を見下ろしながら、それを落ち着ける様に深く息を吐く。反動で深く吸い込めば、肺を満たす空気の冷たさが何だか心地良かった。
死んでなお生き長らえた身体がここに来て限界を訴え始めた。前から望んでいた事の筈なのに、いざそれが訪れると、今度はまた死ぬのが怖くなった。今はまだ死にたくないと、純粋に思った。
それ以上に、皆を悲しませたく無いと、強く思って、いた。
「……もう、潮時かしらね」
「何が、かしら?おじさま」
背後から唐突に聞こえた声に振り返れば、微笑を浮かべた彼女がいつもと同じ様に静かに立っていた。
「酷い人ね、勝手に出ていくなんて。みんな心配しているわ」
変わらず微笑でそう少し寂しげに告げられる。表情は崩してはいないけれど、その声色は本気だった。
「……ジュディスちゃんは、どうしてここに?」
「嫌な想像をしたく無かったから」
そう言いながら真っ直ぐに見つめてくる瞳は微かに安堵の色を湛えていて、それの意図を掴めずにいる自分を小さく笑う。
「でも、杞憂だったみたい」
そう笑った彼女の顔は、酷く綺麗だった。
「ねぇ、おじさま」
宿へと戻る帰り道、まるで連れ添う様に二人並んで歩いていた。比較的治安の良い町だからと言っても、女性一人を夜の暗闇で歩かせるのは良心が痛んだのだ。無論、彼女が返り討ちにしてしまう様子も頭には浮かんでいたが、それはそれだ。
「何かなージュディスちゃん」
「私達って、何なのかしら?」
憂いを帯びた表情でそう問われれば、頭の隅で自分勝手な想像が浮かんでは消えた。彼女がそんな気を持っていてくれているとは、思っていない。
「……まー、若人達の言葉を借りるなら、仲間なのかしらね」
「あら、意外ね」
「俺様そんな薄情じゃないわよ!」
無難に応えようと言葉を返せば、少し驚いた表情とその台詞が返ってくる。それに大袈裟に肩を落としながら、心外だという様にそう応えた。
「そうかしら?私はてっきり一方通行かと思っていたわ。だって、」
「 」
そう悲しげに告げる彼女の瞳は酷く真っ直ぐで、沸々と湧き上がる罪悪感に、その瞳から目を逸らすことしか、今の自分には出来なかった。
『「だって、情を寄せてないのならば、最初から仲間でも何でもないでしょう?」』
結構長めの10のお題2より。
配布元:Abandon(http://haruka.saiin.net/~title/0/)
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