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日記兼短文落書置場..........。

日記だったり短文や絵を載せたり等々何でも賄えなノリで。

2025'05.10.Sat
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2010'09.10.Fri

「殺して、下さい」

狂った様に同じ言葉を繰り返すそれは、殴っても蹴り飛ばしても変わらずにその呪いの言葉を口にする。姿形は全くあの頃と変わり無いのに、中身は酷く変質してしまった。
純粋に私を見つめていた瞳は酷く濁り、口は先程言った通りだ。唯剣と弓の腕前だけは比べ物にならない位上達していた、酷く皮肉な話だ。そう、まるで本物の機械の様に、人間的な部分は崩れ落ち、技術だけが向上していく。私は、こんな物は望んでいなかった。
「アレクセイ、俺を、殺して」
「黙れ」
またこれが同じ言葉を喚き出す。痺れを切らして力一杯殴りつければ、流石に言葉が止まった。いや、これぱ言葉を発する口が、別の用途を果たしている間だけ、止まっているに過ぎない。ほら、醜い嘔吐の直ぐ後にはまたあの言葉を繰り返す。
「……、まるで唯の機械だな」
心臓を魔導器に変えただけだというのに、これは身体全てが魔導器になったかのようだ。
そう、彼の姿形をしただけの、魔導器。

「死なせて、下さい、アレクセイ」
それが殺してくれ、死なせてくれ、と喚くなど、何という矛盾。同じ姿で滑稽な事をしてくれるものだ。
「所詮、唯の道具でしかないというのに」
息を飲む醜い音が響く。そうだ、醜い音だ。魔導器でありながら人間の様な、音。道具が彼を模そうとしても無理に決まっている。
「アレクセイ、俺は、道具、なんですか……?」
「何を今更な事を言う。お前は唯の魔導器と変わらないのだろう?」
その時の顔が余りに人間的で、酷く吐き気がした。

それ以来あれは喚く事は殆ど無くなった。比例する様に人間的な部分も殆ど無くなった。つまりは魔導器が人間を模すのを諦めたのだろう。当たり前だ、人間はそんな簡単なものでは無い。道具如きがそんな事を考えるなど、身の程違いも良いところだ。

やはりシュヴァーンは戦争時に死んでしまったのだろうか。お前の笑った顔が見たかった筈なのに、今私の横にいるのはお前によく似た、けれど出来の悪い魔導器擬きだけだ。お前を生き返らせようとしたけれど、やはりそれは無理だったのか。

お前の姿が何処にも見つからないのだ、シュヴァーン。




『探し物はいつだって足元で。』
選択制お題より。
配布元:Abandon(http://haruka.saiin.net/~title/0/)




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2010'08.20.Fri
これで多分最後かな。とりあえず一つくらいは裏っぽいものをと意気込んでたよう、な……(遠い目
ぬるいです。





金の瞳は戸惑いに揺れていた。
それを見上げる姿勢で眺めながら薄く笑うと、戸惑いは変わらずとも意を決した様に腕を伸ばす。たどたどしい仕草で首を腹を胸を辿る指先が、上着の留め具に差し掛かった所で、静かにそれを制した。

「この先は、まだ駄目、ですヨ。これは只の馴れ合いなんですから」

有無を言わせぬ様にそう言って、反論をさせない様に唇を塞いだ。我ながら酷く矛盾していると思う。けれど、まだ知られる訳には、いかない。
自分のその気迫に押されたのか、はたまたさして問題無いと思ったのか、多分前者だろうけれど、行き場を失っていた腕が下へと降りて来る。布の上から静かに自身を撫でられて、小さく息が零れた。

「こっちは、流石に脱がして良いんだろ……?」
「っ、……そうじゃなきゃ、どうするって言うんだい?君の手で自慰だけしたところで嬉しくは無いヨ」
「っな、なにを……」
「おや、これ位で真っ赤になるなんて、若いですネェ。でも先が思いやられますヨ」

自分の台詞に顔を真っ赤にさせながら固まる姿に苦笑しながら、くしゃくしゃの黒髪を静かに撫でる。続いて強張る指先を導く様に中へと招き入れた。
ぴちゃ、と微かに響く卑猥な水音。それに導かれる様に激しくなる動きに、邪魔な布は既に脱がされ晒される下肢。
白い肌に這う指のコントラストに、少しずつ湧き上がる興奮。息を吐きながら見上げた金色は、すっかり欲に染まっていた。

「ホント、若いですネ……」

腕を伸ばして耳元でそう呟けば、自身に伸びていた指がその先へと進んでいく。あからさまなそれに苦笑しながら、けれど来るだろう刺激に備えて身を構えた。

ぐちぐちと中を暴く指はたどたどしいのに酷く優しい。無意識に零れる己の声に、呼応する様に度々息を飲みながらも、堪える様に解す事にのみ専念していた。
その優しさが、暖かくて、そして悲しかった。

「っ……もう、良いですヨ」
「だが、まだ……っ」
「こんなに我慢して何言ってるんですカ。私なら大丈夫デス、だから」

早く、と口に出す事は無く、それは喘ぎに飲み込まれる。切羽詰まった様に勢い良くねじ込まれた熱に、目眩がした。
そのまま目を瞑れば、荒い息が耳元を掠めるのが分かる。必死な様子が簡単に想像出来て、あぁ、なんて自分は悪い大人なのだろうと心中で自嘲した。

「はっ……っ、ブレイクっ」
「っん、ぁ……はぁ、あっ…」
「オレ、は……馴れ合いだなんて、っ」
「っ……!」

薄く目を開けば、案の定必死な姿が目の前にあって、それを只眺めていれば縋る様な視線に、告げられたその台詞。
聞きたいけれど、聞きたくない、それ。酷く優しい、けれど残酷な言葉。


その答えを拒絶するかの様に、視界は白く弾けた。





選択制お題より。
配布元:Abandon



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2010'08.20.Fri
まだログ続きます。今度は名ばかりのブレギルで(笑





「ヤァ、ギルバート君、お勤めご苦労さまデス」

そう唐突に背後から聞こえた、独特な口調の聞き慣れた声。自然と皺の寄る眉間を隠すこと無く、不機嫌をそのままに振り向けば、やはり想像通りの男がそこに居た。

「全く、なんて顔してるんですカ」

自分の顔を見るやくすくすと笑いながらそう言い放つ。お前のせいだ、と喉元まで出掛かった言葉をどうにか飲み込み、目の前でにやにやと笑い続ける男を睨み付けた。

「……、何の用だ」
「随分と素っ気無くなっちゃいましたネェ、あぁ私は悲しいですヨ」
「ふざけるだけなら、」

「血の匂いには、もう慣れたかい?」

目の前の男はそう言って赤い隻眼を細めて静かに笑う。飲まれる様なその赤に身動き一つ取れずにいれば、伸びてきた腕がいつの間にか己の小銃を手にしていて、男はそれを嘲笑うかの様に弄んでいた。

「おいっ…」
「こんな物を普通に持ち歩く様になったんですもんネ」

でもこんな簡単に私如きに取られるなんて、やっぱり甘ちゃんデスヨ。
そう言って手にしていた小銃を投げ返してくる。それをすかさず受け取って、何をするんだと男を見れば、蔑む様な視線が向けられていた。

「…一体何がしたいんだ」
「血に染まってその身を溝ネズミの世界に落としても、そんな風に純粋でいられる君が、私には」

「薄気味悪くて仕方が無いな」

赤い眼の冷たい視線が突き刺さり、思わずそれから目を逸らす。けれどそれに相反する様に、伸ばされた白い指は優しく自分の頬を撫でていた。

「……っ、ブレイク」
「でもそれが、君の良い所なんだろうけどネ」

優しく呟かれたその言葉に、再び目の前の男を見れば、そこには見た事も無い様な優しい笑みを浮かべる男が居て。

「私には到底真似できないヨ」

全てを白に染めた男は、そう小さく呟いて、静かにそこから去っていった。



「………はぁー…」

男の姿が視界に映らなくなってから、堪えていたものを吐き出す様に、溜め息を一つ。
指が触れた頬は、微かに熱を帯びていて、それが何だか癪で仕方がない。けれど決して嫌な訳では無く、そこを撫でながら小さく笑った。
けれど。

「オレは、純粋なんかじゃ、無いのに」

去り際の白はとても綺麗で、それこそ純粋という言葉に相応しいと、そう思えるのに。

あの優しい笑みを思い出しながら、また一つ小さな溜め息を吐いた。






選択制お題より。
配布元:Abandon


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2010'08.20.Fri
続けていきます。ブレイク独白。今更ですがネタバレ多数ですよ(苦笑






私が私で無くなったのは、一体何時の事だったのだろうか。


赤い血飛沫が飛び交う世界。今も昔も変わらないそれは、未だ私という存在を許し、此処に場所を与え続ける。
手の中のものを、人の赤い血を吸い続けた白い刃から、その刃自身を奪う杖に変えたのは贖罪のつもりか。けれどその杖は今も赤い血飛沫を浴び続けている。

馬鹿らしい。

何も変わりはしないのだ。
片目を失い護る者を失い居場所を失い己を偽っても、もう一つの目に世界は映り新たに護るべき者を手に入れ新たな居場所も与えられた。
偽っていた己さえもそれ毎受け入れられれば最早偽りでは無くなり、新たな己となる。

馬鹿らしい。



私は何時までも何処までも、私には変わりないのだ。





「は、生温いですネェ」

けれど、それで良いと思っている自分に、自嘲気味に薄く笑った。




選択制お題より。
配布元:Abandon



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2010'08.20.Fri
実は約一年前にPHにハマってこっそり別名義の別館作ってたのに、やっぱりポリシー崩せずにちょっと短文書いただけで放置してました(苦笑
原作であれだけ色々話が進むと私には畏れ多くて勝手に話なんか書けませんよ……(泣

とりあえずブレイクとギルバート二人とも愛してます!だからリバで!(笑





かちゃりと音を立てて混ぜられるのは赤い紅茶で、さらさらとそこに加えられる砂糖の量に顔をしかめた。それを何食わぬ顔で口に含みながら至福だと言う彼を唯々眺める。
カップの下に隠れていた口元がそれが下ろされるに連れて姿を現せば息を飲まずには居られなかった。

「……、何だと」

どうにか呟いたその言葉に、彼は薄く笑いながら再び甘い甘い紅茶に口を付ける。そののんびりとした様子に苛立ちを隠せず、手元のカップが音を立てた。その様子に彼は苦笑して、漸く口を開く。

「ですカラ、好き、と言ったんですヨ。ギルバート君」

聞こえなかったですか?と見え見えの疑問詞を投げ掛けながら、赤い眼が真っ直ぐに見つめてくる。そのあまりの綺麗さに言葉も出ずに呆然としていれば、途端、頭に走る痛み。

「っ……っい、!?」

ばちん、という音と共に額を指で弾かれる、所謂デコピンをお見舞いされた。微かに赤く染まった額を抑えながら、涙混じりに睨み付ければ、くすくすと笑う彼の姿が目の前に映る。

「ホントに君は退屈しませんネェ」
「なっ、俺をからかったのか……!」
「そんな事は無いんですが、……そうですネェ」

そう言うと少し考える様にうーんと唸る。わざとらしいそれに怪訝な瞳を向けていれば、ぱっと上がった顔。
瞬間、くちゅ、と目の前で響いた音に、呆気に取られた。甘ったるい味が口の中に広がる。

「っ、!?」
「ん……はぁ、これで分かりましたカ?ギルバート君」

そう言って見つめてくる赤い瞳は微かに潤んでいて、そこで漸く状況を理解した。
途端に真っ赤に染まった俺の顔を笑う彼の顔も、微かに赤く染まっていた。




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初書きPH文でした(苦笑

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