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日記兼短文落書置場..........。

日記だったり短文や絵を載せたり等々何でも賄えなノリで。

2025'05.10.Sat
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2010'08.08.Sun
月一連載とか言ったのどこのどいつだ(←
そんなこんなで21話です。そろそろ場面がらっと変えたい。




「……何故、その名を」
妖しく光る赤い瞳が驚きに見開かれる。そのあまりの動揺振りに、笑みを隠すことが出来なかった。
無様だ、無様過ぎるぜ、あんた。
「………貴方は何を、知っているんですか」
焦る様に、しかし極力抑えた声で、そう問われる。更に込み上げる笑いをどうにか堪えながら、ふざける様に、それに答えた。
「なーんにも」
「な、……」
「あんたが自分で言ったんでしょーよ、一番初めに」
そう言えば、やられたとでも言う様に、顔を押さえながら俯く。本当は全部知ってるんだけどな、俺様は。
それを一切悟られない様に、同じ調子で軽口を続けた。
「それにしても、その動揺っぷりだとやっぱりあれか、元の国、つーか世界?に残してきた恋人とかの名前だろ?それにしちゃ男っぽい名前だけどな。『不確定な物は信じない』とか言っておきながら、健気じゃねーの」
「違いますよ」
そう早口で言い切れば、俯いた顔のまま即座に否定が返ってくる。その様子を悪戯が成功したかの様に、にやにやしながら見ていた。

「ちょっと、二人とも置いてくよ!」

遠くから聞こえる苛立った様な声に前を向けば、どうやら皆から結構遅れてしまったらしい。
「今行くっての、そんなに怒ると更に栄養が胸に行っちまうぜー?」
「そんな訳あるかい!こっの、アホ神子!!」
そんな軽いやり取りを続けながら、俯いたままの奴を尻目に足早に皆の方へ向かっていく。

「……そんなものでは、無いんですよ、あの子は」

背後で酷く小さく呟かれたその言葉は、全く聞こえない振りをした。





次は今月中に書けたら、いいな……(遠い目

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2010'06.15.Tue
大変遅くなりましたゼロジェゼロ。
前回19話から約1年……読者が付いて来てるのか超不安(汗
一応復習してから読むことをお勧めします(苦笑




20

ガオラキアの森はとても薄暗く不気味な森で、同じ様な地形が続いている。案内が無ければ確かに迷ってしまいそうだ。しかもそれに見合うように、お決まりの怪談話があるらしい。
「で、その旅人の怨霊が今でもさ迷い続けていて、同じ様にこの森に迷い込んだ旅人を取り込もうとしてるんだとよ」
「げっ、マジかよ…」
「そんな話嘘に決まってるよ、ロイド」
「それがそうでもないんだぜ、がきんちょ。この森に入って帰ってこなかった奴らだって一杯いたんだぜぇ?」
その暗い道を歩きながら意気揚々と語る彼に、あからさまに本気にしたり、呆れた顔を向けながらも興味はあるのか耳を貸したりする少年達を、何だか微笑ましい気分で見ていた。あの頃も同じ様な反応を示すあの子等に、私も同じ様な悪乗りをしていた筈だ。もう遠い昔の様な気がする。否、時空自体が異なっているのだが。体感覚の話だ。
「で、おっさん、俺様の話聞いてる?」
「おや、私の事ですか」
「呼んでも反応無いんだから十分おっさんでしょ」
思考に没頭してしまい、呼ばれていた事にも気付かなかったようだ。前はそんな事滅多に無かったのに、どうやら年を取って色々と鈍くなったらしい。
「あんたは幽霊とか信じる方か?」
「いやぁ、私は不確定な物は信じませんよ、証拠があれば別ですが」
そう応えれば話を聞いていた周りからも不信な声が挙がる。それをどこかたのしそうに受け流す彼の顔はいつものままだった。

入り組んだ森を進むのは案内があれどやはり一苦労で、最初は騒いでいたメンバーも今では会話一つ無い静けさを保っている。無言で前を進むプレセアの姿が見えなくならない程度に距離を取って彼等を見渡せば、疲労の色が顔に浮かんでいるのは一目瞭然だった。
「全く、情けないですねぇ」
「ホントだな、ネクロマンサーさんよ」
溜め息混じりの呟きに、応える様な声が横から聞こえてくる。彼だけは全くと言って良いほど疲労していなかった。
訝しげに向けた視線は、挑戦的な笑みで返される。明らかに何かを含んでいるそれ。
「何だよ、あんただって同じじゃねぇの」
その意図を掴み取れずに居れば、声を立てて笑いながらそう囁く。周りには聴こえない様に、酷く小さく。
「……何を、」

「『ルーク』に会うまで、倒れるわけには行かないんだろ……?」

その唇が紡いだのは、もう聞く筈の無い、あの子の名前だった。






近頃になって思ったんだけど、この話の二人は苛め愛なんだと思う(笑
そう思わないとCP要素皆無だよ、ね…。

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2010'06.10.Thu

続けて3月ログいきます。





「お前は、死にたいと思うのかい?」
白く塗りつぶされた無機質な部屋。硝子細工の様に綺麗で、繊細で、不安定な主は、冷めた声でそう笑っていた。
彼が笑うのなんて何時振りに見ただろう、そう言えば昔は結構見たような気もする。あの頃自分は酷く従順で馬鹿な子供だった。随分擦れてしまったと自覚しているけれど、今更どうしようもない。
今はただ、目の前に晒されている細く白い首筋に力一杯指を立てたいだけだ。
そうした所で、直ぐに息の根を止められるのは目に見えている。勿論自分が、だ。そこで先程の質問に戻るのだ。
目の前の主の首を絞めない事こそ、その答えなのだと。
「思いますけど、思いませんね」
「僕だと駄目だなんて、いつの間にお前はそんな贅沢になったんだい?」
「昔からですよ、ミトス様」
薄笑いを貼り付けながら、小さな主を見下ろせば、同じ様に彼は薄く笑っていた。
彼の反応が無意味になったのは何時からだろう。昔はそれなりに顔色を伺っていた筈だけれど、もう今は滑稽としか思えないのだ。それらの行為全てが。
だって、彼は決して救いを与えてはくれないのだから。



深く深く突き刺したそれは肺にまで達していて、吐き出した息は音にはならずただ血反吐を吐き出すだけだった。
濁った視界には彼の姿は無い。居るのは彼と正反対のロイド。今にも泣きそうな顔で真っ赤に染まった剣を抜いていた。
「泣くなよ、ロイド君」
そういえば彼の泣く所なんて見たこと無かったなあ。なんて滑る指で涙を拭いながらそんな事を考えていた。彼はただ冷酷に存在するだけで、そんな感情的な姿など、見たことなかったのだ、俺は。
けれど、彼は酷く感情的だったのだと、今更気付いた。ただそれを俺が求めなかっただけで。
「どうして、なんでだよ、ゼロス……!」
だって優しいお前なら、求めなくても救いを与えてくれるだろう、こうやって。
濁った視界に意識も曖昧になっていく。どんどん落ちていく意識の中で、最期に。

彼の声が聞こえた気がした。



「惨め、だな。お前はこんなのは望んで無かっただろうに」
紅い髪が広がる血と同化して、まるで紅い花を咲かせているかの様だった。救いを望んだ筈の相手は彼を此処に置いて先へと進んでいった。結局、こうやって僕の元へと帰ってくる。皮肉なものだ。お前は僕じゃなくてあいつらを選んだというのに。
「優しすぎるロイドには分からないのかな、これじゃ苦しみしか生まない事を」
冷たく冷え切った頬を撫でれば、まるで人形の様に固い。青白く染まった肌は不気味なだけだ。
彼は死を望んでいた。それは即ち、この世界に居る事を拒んでいたという事。それなのに、こんな惨めな姿を晒して。
「だから始めから、僕を選んでいればよかったんだよ、可哀想なゼロス」

冷たい頬に触れるだけのキスをして、手を翳す。現れた真っ赤な炎が全てを焼いて、彼自身を消し去っていた。

「静かに、お休み。……ゼロス」


空に舞った灰が、だたきらきらと光に反射して輝いて、消えた。




選択制お題より。
配布元:Abandon




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2010'06.10.Thu

もう定番になりつつある、困った時のログ上げ(苦笑
もうちょっと我慢して、ゼロジェゼロがもう少しで上げられる筈、なんだ。

バレンタインネタですが、珍しくD2でジュハロジュなんか書いちゃいました。
D2ホント大好きなんです。





こぽりと音を立てて液体が揺れるフラスコを眺めながら、小さく溜め息を吐く。そこで漸く、この部屋に来てしまった事を後悔するも、時は既に遅かった。



その日の地上軍駐屯地は、天地戦争真っ只中なのにも拘わらず、どこか浮き足立った雰囲気が漂っていた。
パーティのメンバーも例に漏れず、普段でさえ落ち着きが無いというのに、まるで祭りに向かうかの様に騒ぎ立てていた。
そんな最中呼び出されたのはハロルドの部屋だ。しかも一人で来いと名指しで、である。悪い予感しかしなかった。しなかったのだが、約束された手前、行かないというのもどこか気が引けた。
『そんな事思うなんて、坊ちゃんも随分丸くなりましたね』
「それは嫌味か、シャル?」
『違いますよ、僕は純粋に嬉しいんですから』
「……ふ、あいつ等に感化されたのかも知れないな」
話しながら足を進めていれば、狭いラディスロウの中では直ぐに目的地に着く。
悪い予感しかしないその部屋の扉を眺めていれば、何だか奇妙な匂いが漂って来た。やはり帰るかと踵を返そうとすれば。
「ちょっと遅いわよ、いつまで待たせるつもり?」
シャッターの開く音と共に響いた甲高い声に、頭が痛くなった気がした。



「……一体僕に何の用なんだ?」
「何って、決まってるじゃない」
そう言って振り向く彼女の手には、茶色の液体が入ったビーカーやフラスコが握られている。こぽりと粘度を持った音に甘い匂いに中身は薄々感づいていたが、入っている物が物だけにその答えだけは認めたく無かった。

「私の特製チョコレートの毒見係よ」

瞳をきらきらさせながらそう言う彼女に、たまらず頭を抱える。自分で毒見と言うのだから手に負えない。
『どんまいですよ、坊ちゃん』
宥める様なシャルの声が、その時ばかりは疎ましく思った。



「そろそろバレンタインでしょ、今年は例年以上に物資が無いし。兄貴や他の男共にあげるチョコだから、ま、良いじゃない」
フラスコから注がれる液体は、これまた研究用だろう長方形のガラスケースを茶色く満たしていく。何とも食欲が減衰する光景だが、確かに今の地上軍の現状ではこれが限度なのかも知れないと、妙に納得してしまった。
「見た目はアレだけど、別に変な物は入れて無いわよ?」
「……それで、僕はどれを食べれば良いんだ?」
「あら?予想してたより潔いじゃないの」
「揉めた所で変わらないだろう」
そう言って手を差し出せば、彼女は空になったビーカーを置きながら一つ溜め息を吐いた。
「なんだ、つまんないわね」
「……、僕で遊ぶな」
『坊ちゃんは何だかんだでからかい甲斐がありますもんね』
「あらシャルティエ、分かってるじゃない」
「……シャル、」
咎める様に強く名を呼べば、ぴたりと悪ふざけを止めて声が止む。その様子を彼女は笑いながら眺めていた。
「本当に面白いわねぇ、あんた達」
「……何がだ」
「あんたとソーディアンシャルティエの人格は全くの他人なのに、同調率がハンパないもの」
そう言うや否やあーだこーだと考え込む様に動きが止まった彼女に、それは良いのかとガラスケースに収まったままの液体チョコを指差した。
「あ、これは後。あんたが食うのは、こっち」
先程までの様子が無かった様にチョコを抱えてくる彼女に苦笑する。頭の回転が良すぎるのも如何なものか。
薬品の並ぶ机の上の隙間に置かれたチョコを眺めれば、それは先程までのガラスケースに入ったチョコと何ら変わりは無い。違いと言えば冷えて固まっている事位だ。
「変な物は本当に入っていないんだろうな?」
「信用無いわねぇ、平気よ、平気。そんなに不安なら私も一口食べてあげよっか?」
「別に、いらん」
あからさまに馬鹿にする様な笑みを浮かべられれば、それは拒否するに決まっている。思わずそう言ってしまってから、直ぐに己の行動を後悔した。
渋々渡されたチョコを口に運ぶ。恐る恐るというその様子を、彼女は笑いながら見ていた。
「どう?」
「…………別に、普通のチョコだが」
いざ口にしてみれば、それは何ら普通のチョコの味しかしなかった。確かに、何も入れていない、と言っていたが、それでは僕を呼んだ意味も無い筈だ。意味が分からないと頭を悩ませていれば、また笑う彼女の声が聞こえてきた。
「ぐっふっふ、大成功ね」
「な、何がだ…」
「なーんでもなーい。も、戻って良いわよ」
含んだ様に笑う彼女に、何やら悪寒が走るが、その答えを知らされる事無く部屋から追い出された。
一体何だったんだと愚痴を呟くも、その返事は帰って来ない。渋々、あてがわれた部屋に帰るしかなかった。



『……全く、遠回し過ぎるんだ、あの人は』
「シャル、何か言ったか?」
『何でもありませんよ、坊ちゃん』






選択制お題より。
配布元:Abandon




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2010'04.27.Tue
バレンタインネタ。
イラストの補完文でした。




『珍しいものを目の前にして。』


「手、出して」
一言そう言われて、訳が分からずも両手の手のひらを上にして彼女に突き出す。
なんか間抜けな格好だなぁと他人事の様に考えていれば、がさりという音と共に感じる質量。
見ればそれなりの大きさの箱が手のひらの上に乗っていた。

「え、リタっち……これって」
「何よおっさん」
「まさかチョコを……リタっちが?、あだっ!」
「文句があるなら返しなさいよ、どうせ義理なんだから」
「嫌よせっかく貰ったのにー」
「甘い物駄目な癖に何言ってんのよ」
「それなら何でくれたのよ、リタっち」
「……エステルがどうしても作りたいって言ったから、ついでよ」
「なっ…、という事はリタっちの手造りチョコ……いだっ!今のは打つこと無いでしょ!?」
「う、うるさいわね」
「……」
「…な、何よ」

「ありがとね、リタっち」

向けられた小さな背中を抱き締めて、後ろから小さく呟く。驚きのあまりに固まってしまった彼女の様子に苦笑しながらもゆっくりと腕の力を込めれば、思っていた様な抵抗は一切無かった。

ただ真っ赤に染まった耳だけが髪の毛の隙間から覗くだけだった。



選択制お題より。
配布元:Abandon




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