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日記兼短文落書置場..........。

日記だったり短文や絵を載せたり等々何でも賄えなノリで。

2025'05.10.Sat
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2009'12.21.Mon
困るとこういうことするのは相変わらず。むしろ今更上げるのか(苦笑
ということでメルマガログ9月分です。





仲間に頼まれて久しぶりに足を踏み込んだそこは、机の上から溢れた書類達が床にまで散らばって足の踏み場も無い様な状況だった。余りの荒れ具合にどこかの魔導士みたいだな、と呆れの溜め息を吐きながら、床の隙間を探しては少しずつ奥に進む。
「……ったく、本当にここに居るのかよ」
部屋の奥も相変わらずの様子で、仕方無く足を翻そうとすれば、がたり、という物音がして、足を止めた。続けて積み上がった書類が崩れる音が大きく響いた。
「……痛ぁ、あー…やっぱりベッドに積むんじゃなかったかな……て、あれ?」
その崩れた書類の山の中からぼそぼそと聞き慣れた声が聞こえてきた。呆然とその場に立ち尽くしていれば、見上げてきた顔と目が合う。
「……せーねん?」
ぼさぼさの髪に隠れた翡翠色の寝ぼけ眼が、真っ直ぐに俺を見つめていた。


「それでわざわざここまでねぇ……ご苦労なことで」
「依頼のついで、だ。城に寄る仕事が有ってな」
「別に同じじゃないの。……それにしても、驚いたでしょ」
「まぁな、こりゃあリタの家より酷いだろ」
一時的に片付けられたテーブルの上に並べられたコーヒーカップを手に取り、部屋を見渡しながらそう苦笑する。そんな俺の様子に彼も苦笑しながら、淹れ立てのコーヒーに口を付けた。
「騎士団の再編成に結構手間取っちゃってて、あんまりダングレストにも顔出せて無いのよ。だからユニオン関係のもごっちゃになっちゃってさ、この有り様ってわけ」
一口飲んでから、そう言って溜め息を吐く。その表情は疲れ切っていて、いつも見ていた飄々として胡散臭いおっさんの姿とはかけ離れていた。辛うじて服はレイヴンだけれど、ぼさぼさの髪は下ろされたまま、乱れた前髪に片目も隠れていて、それらが表情に相まって更に隊長主席としての彼の姿を彷彿とさせていた。
「その分じゃ休みも殆ど取ってないんだろ」
「今は時間が惜しいからねぇ、仕方ねえわよ」
そう言って誤魔化す様に、いつもの張り付けられた笑みを向けられる。その姿が余りに無理をしていて、それを見ているだけの自分に歯痒くなった。手伝える事は何でも手伝うと言っておきながら、結局は、彼の仕事は彼にしか出来ない事ばかりで、俺達は彼の噂を遠くで聞いているだけだったのだ。
「……なぁ、俺達にも出来る事は、」
「前にも言ったけど、これはおっさんが逃げたツケだもの。青年達の気持ちは嬉しいけど、俺自身で片付けたいの」
ごめんね。と申し訳無さそうに目尻を更に下げながら呟く。その姿にそれ以上何も言えなくて、誤魔化す様に冷えた甘ったるいコーヒーを一気に飲み干した。


「じゃ、とりあえずおっさんは生きてたみたいだし、帰りますか」
「生きてた、って酷いわね」
「あんたが全然連絡寄越さないのがいけねぇんだろ」
「おっさんは忙しいのよ、そんなに俺が気になるならまた来れば良いでしょー」
「そうだな、今度は全員でおっさんの様子、見に来てやるよ」
帰り際に笑いながらそう言えば、彼にはそれが予想外だったらしく目を大きくしながら呆気に取られていた。その姿はやっぱり見慣れたおっさんで、何だか安心してまた笑いが漏れた。
「だから、それまで勝手に倒れるんじゃねぇぞ、おっさん」
「な、何よその言い分っ……」
「おっさんの命は凛々の明星のものなんだろ」
そう言えば、一瞬困った様に固まって、すぐに小さく笑い始める。次第に大きくなるそれに、同じ様に笑みを向けた。
「もう、本当に容赦ないんだから……わかったわよっ、おっさん元気に頑張るから、青年達も必ずみんな揃って元気な顔見せなさいよねっ」
そう高らかと宣言された台詞に、当たり前だろとそう返せば、彼は静かに微笑んだ。その顔に満足して相変わらず書類の散らばる部屋を後にする。

そしてまたこの部屋にみんなを連れて来ないとな、とそう誓って、城を後にした。






『予定は未定で未来は不確定。』

選択制お題より。
配布元:Abandon




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2009'11.20.Fri

『優しい光は誰を殺すのか。』




「優しいわね、青年は」

ぽつりと呟かれたそれは、まるで風に紛れるかの様に消える。見据えた翡翠の瞳は静かに笑っていて、逆にそれが酷く儚げで、恐かった。

まるで何処かに消えてしまいそうで。

抱き締めた身体は小さくて、腕の中にすっぽりと収まってしまう。このまま逃がさなければ、彼は消えずに居てくれるだろうか。

「青年、せーねん………ユーリ」

耳元で何度も俺を呼ぶ彼の声がとても心地よくて、一層腕に力を込めて、彼との距離を縮めた。

「ちょ、ユーリ、苦しいわよ」
「良いからもう少し抱きしめられてろよ、おっさん」

そう言えばたれ気味の目をきょとんとさせてから、笑みを浮かべて俺の頭をぽんぽんと叩いた。まるで子供扱いのそれに不機嫌な顔を向ければ、声を上げて笑った。

「青年もまだまだ甘えたなのね、おっさん安心したわ」
「別に俺は、そんなつもりねぇぞ」

それはまさに子を見つめる親の様で、気恥ずかしいような、悔しいような、そんな気分だった。

「うんうん、分かってるわよ、俺はそんな青年が大好きだもの」


そう言ってにっこり笑う彼は、やっぱりどこか寂しげで、そんな表情を見たく無くて、もう一度強く抱き締める。
耳元で聞こえたのは、溜め息混じりの小さな苦笑だけだった。




選択制お題より。
配布元:Abandon





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2009'10.16.Fri

失礼します、と一声掛けて扉を開ければ、目の前のその光景に言葉を失う事しか出来なかった。


「ああ、シュヴァーン良い所に来たな」
何事も無さ気に放たれたその台詞は、目の前の山積みの本の中から聞こえてくる。まさかそんなはず無いだろう、と自分の想像を叱咤しながら辺りを見渡すけれど、声の主の姿は、やはり見えない。
「あ、の……アレクセイ?」
部屋を陣取る本の山だけが存在を示していて、意を決してその中を覗き込めば、微かにだが本の隙間から銀色が見える。考えたくなかったけれど想像通りのそれに、苦笑しか出て来ない。痺れを切らした様な声がそこに響くまで、ただどうしようかと躊躇するばかりだった。
「……いい加減、これをどかして欲しいんだが」
「あっ…すみません、すぐやります」
分厚く重い本を一冊一冊丁寧にどかしていく。よくは分からなかったけれど、相当貴重な本なのだろう。色が薄れた背表紙の中は、難しい術式などで埋め尽くされていた。
徐々に見えてくる銀色に、さらに急かされた様に手の動きを速める。次第に減っていく重みに、漸くがさがさと銀色が動いた。足に乗っていた本がばさりと落ちる。

「大丈夫ですか、アレクセイ?」
「あぁ…すまなかったな、シュヴァーン。私とした事が、とんだドジをしてしまったよ」
ばつの悪そうな顔をしながら、本の中から彼が現れる。そこに手を伸ばしてそう言えば、手を取る彼は苦笑しながら呟いた。彼らしく無い台詞だ。いつも完璧で抜け目など無い彼がドジをしてしまう、なんて。
「一体何事かと思いましたよ」
「何て事はない。ただ本棚から本を取ろうとしたら、上に積んでいた物が崩れてきたのだ」
後はお前の見た通りだ。とそう言い切って、彼は何事も無さ気に散らばった本の中から目当ての本を探し始める。その姿はいつも通りの完璧な彼の姿で、あまりの切り替えの速さに呆気に取られた。
というか、あの量の本を頭上から浴びて無傷な事自体信じられない。どれだけ頑丈なのだろうか、この人は。

「シュヴァーン、そういえば何か用件があったのだろう、何だ?」
「……あー、それはあまり急ぎじゃないんで、後でも大丈夫です。とりあえず」
これ、片付けるの、手伝いますよ。
そう言って彼が避けた本達を手に取って笑う。返されたのは優しい微笑みで、その姿に一瞬言葉を失った。慌てて手に持っていた本を本棚へと戻すが、それは直ぐに本棚の中で横になってしまう。
「あーもうっ…」
「はは、焦らずとも本は消えたりしないぞ」
そう笑う彼の声を背後に聞きながら、真っ赤になった顔を隠す様に本棚と向かい合う。
倒れている本が笑っている気がした。




『本に埋もれた人を見つけた。』
選択制お題より。
配布元:Abandon



10万打リクエストの戦前アレシュヴァです。とりあえずほのぼのを目指してみようと思ったら、何故か大将が本に埋もれてしまいました(笑
やな様、こんなもので宜しかったでしょうか。
リクエストありがとうございました!

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2009'09.30.Wed
皆が泊まっている宿から少し離れた安宿。フードを深く被り姿を悟られない様にしながら、そこの宿泊台帳にさらさらと 偽名を書いていく。
宿屋の主人も金払いの良い客人に、敢えて深くを探らず、部屋の鍵を渡した。
慣れたものだ。
今頃あの仮初めの仲間達は、俺がいつもの様に夜遊びしていると思って先に就寝している事だろう。本当はこんな事をしているなんて、あのお人好し軍団は気付いていないのだ。

窓の外にランプを一つ吊してカーテンを締め切る。天使化したものなら遠くからでも分かるそれは、お決まりの合図だ。
真っ暗な部屋の中で、カーテン越しのランプの光が消えるのをただ待っている。
長い様で、短い静寂。
カーテンから漏れた光が、ぼんやりと天井を照らしている。固いベッドに横たわりながらそれを眺めていれば、一瞬黒い影が映り、直ぐに闇が部屋を包む。
カーテンを開けば、彼がそこに立っていた。
「時間どーり、ご苦労なことで」
かちゃりと鍵を開けて、月明かりに照らされる部屋へと彼を招き入れる。再びカーテンを締め切って、また暗闇へと身を沈めた。


「で、今度は何だって?ミトス様は」
「変わらん。そのまま監視を続けろとのことだ」
「ふーん……泳がせてるつもりなのかね、俺達を」
そう言って腰掛ければ、ぎしりと音を立てて安いベッドは軋んだ。それを気にすることも無く、彼は俺の台詞に眉を顰める。しかし立ったまま微動だにしていないが。
「……やはり、不安か?」
「べっつにー。話ふっかけて来たのは天使サマでしょ、俺様はそれに乗っただけ」
そう茶化せば、鋭い眼光が突き刺さる。その様子に堪らず笑いが漏れた。すると先程まで微動だにしなかった彼が、不機嫌そうに低く呟いた。
「……何が可笑しい」
「だって、不安なのはあんただろ」
そう言って彼を見た瞬間、伸ばされた腕に押し倒されて、固いベッドの上に組敷かれていた。二人分の体重に一際大きく軋む。見上げた彼の表情は、全く見えなかった。
「痛いんだけど、……もしかして図星?」
返事は、無い。ただ押さえつける腕の力が強くなり、身動きが取れなくなるこの状況に、答えを教えられたも同然だ。この堅物天使サマは、思っているよりは単純。変な所でロイドとそっくりだ。
「ま、こんな俺様じゃ不安だよなぁ、ロイド君を助けるに、はっ……、」
続く言葉は唇を塞がれて飲み込まれた。柄にもなく貪る様なそれに、翻弄される。漸く解放された時には既に息は上がっていた。
「な、に……盛ってんだよ、あんたらしく、」

「私はお前の心配をしているのだ」

息を整えながら目の前の男を睨み付ければ、返ってきたのはそんな台詞。真っ直ぐに見つめられながら放たれたそれに、息を飲んだ。
「……、なんで」
震える喉でどうにか吐き出したのはそんな小さな呟き。真っ直ぐなその視線が痛かった。耐えきれず顔を背けて、目を閉じる。相変わらず腕は押さえられたまま、酷く近い彼の気配に、泣きたくなった。
「あんたは、そんな事言うんだよ……」
思わず漏れた本音は、ぼろぼろと虚勢の壁を崩していく。無様だと自覚しているのに、それはもう止まらなかった。押さえていた腕を振り切って、突き放す。
「俺の事なんて気にしなければ良い、その方が楽なんだ。期待したってそんなのすぐに、」
堰を切ったように溢れ出す言葉に、つられるように涙も溢れ出した。それを隠す様に腕を顔に回して、蹲る。
情けなさすぎて、この場から消えてしまいたかった。

暗い部屋に訪れる沈黙。それを打ち破ったのは強い腕の力だった。大きな腕で抱き締められて、そのいきなりの事に訳が分からず茫然としてしまう。
「私は、お前を好きなのだ」
「……何、言って」
「好きな者を心配し、気に掛けるのは当たり前だろう」
耳元で囁かれたその台詞は、余りに予想外の内容で、何も言えずに只されるがままになってしまう。酷く優しい抱擁に、段々と顔が熱くなっていくのが分かった。
「お前が思っている以上に、私はお前を想っているのだ、ゼロス」
その様子を小さく笑って、彼はめったに呼ばない俺の名前を呼ぶ。その優しい声色に、先程までとは違う涙が、堪えきれずに溢れてきた。
「……何故泣くのだ」
「っ……分かんねぇ、よ……だって、俺は」
そう言い掛けて、言葉が詰まった。俺は、何だと言いたいのか?
この男は嫌いだ、とそう思っている筈なのに、只、利害関係が一致しただけの筈だったのに、何でこんなに嬉しくて、泣いているのか。
「……ゼロス」
再び優しくそう呼ばれて、そこで漸く、この違和感の理由に気付いた。

そうだ。だって俺は、昔から。

「……あんた、本当にむかつく」
そう言っておずおずと背中に腕を回せば、くすりと小さく笑って腕の力が更に込められる。そのまま顎を持ち上げられて、ゆっくりと口付けられた。いつもとは違う優しいそれに、また涙がこみ上げてくる。
「お前は、そんなに泣き虫だったか?」
「……、あんたのせいだろ、馬鹿」



かちゃり、と音を立てて扉が開く。振り返った部屋の中には、他に誰も居ない。それを気にする事も無く、深くフードを被って安宿の軋む階段を下りていった。
昨日と同じ。その筈なのに、気分は変わって随分と楽だった。
また会えるのはいつだろうか、とそんな事まで考えてしまって、自然と緩んでしまう。


宿の扉を開ければ、優しい朝日が目の前を照らしていた。





『週一回この場所で。』
選択制お題より。
配布元:Abandon


10万打リクエストでクラゼロです。
一回途中で断念したりと色々あったこの話ですが、密会からなぜかパパの告白とよく分からない流れになってしまいました(苦笑
そしてゼロス君が泣いてばっかり。
匿名でリクして下さった方、これで宜しかったでしょうか。
リクエストありがとうございました!

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2009'09.24.Thu


手を伸ばした先に絡み付く朱い髪。閉じられた瞼の奥に潜むのは自分と同じ翡翠。指先でなぞる輪郭も同じで。

「……どうしたんだ、アッシュ?」

問い掛けてくる、その声も。

当たり前だ。この今目の前にいるのは自分のレプリカなのだから。自分の姿を模した、模造品。つまりは自分自身と同じもの。なのに。

「………、分からない」

何故今自分はこうして一緒にいるのか。馴れ合いは嫌いだった筈なのに、何故。
この腕に、安心してしまうのか。

憎い筈のこの、レプリカに、どうして自分は。
ぐちゃぐちゃだ。何もかも。倫理も道理も何も無い。

「アッシュ、何で泣いてるんだよ」
「……お前が、」

お前が俺のレプリカなのがいけないんだ。

そう嗚咽を吐き出して、差し出された胸を涙で濡らせば、また暖かい腕が優しく頭を撫でる。


更に涙が溢れて、止まらなかった。


『善悪判断付かずに泣いた。』







見慣れていた筈の簡素な部屋は、今はその主さえも失ってより広く、殺風景に見えた。


残されたのは、もうこの机だけ。


机と書類と本しか無かったこの部屋は、今やその大部分であった書類も本も帝国によって回収され、一つの机が残るのみ。

「何だか、結構寂しくなったわね」

唯一のその机も、明日には運び出されてしまう。そして直ぐにあの真っ直ぐな青年の物でこの部屋は埋め尽くされてしまうのだろう。

「……貴方は、いつもここに座っていたのに、な」

沢山の本に囲まれながら、力強くこの国の未来について語りあった。時には喧嘩もしたし、仲直りもしたし。
絶望も知ったりした、けれど。

「それでもきっと、貴方を愛してたんだよ、大将」


開けた引き出しにはやっぱり何も入っていなくて、彼が消えたという事実に、今更だけれど、声を上げて泣いた。


『宗教的な愛を捨てた私の後悔。』




選択制お題より。
配布元:Abandon



泣いてばっかり(苦笑

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