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日記兼短文落書置場..........。

日記だったり短文や絵を載せたり等々何でも賄えなノリで。

2025'05.10.Sat
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2009'02.18.Wed
本当は、分かっていた。
貴方が求めていたのは自分ではないのだと。ただ、貴方の思い通りに動く道具が欲しかっただけなのだと。
俺、は必要とされてはいなかったのだと。

分かっていた。
結局はそんな単純なものだったのだ。決して、それは愛などではなく。


それでも。



自分は貴方を愛していたんだ。










世界の中心。広い海の中にぽつんと存在するその孤島。彼が高らかに笑いながら復活させたその島は、まるで彼自身の様に孤独だった。
気付かれない様に遠くから海上を進む事になり、船内で皆は最後の休息を取っている。日が落ち掛けて暗く染まった海には波の音しか響いていない。そんな海を眺めながら一人甲板に立っていた。
本当は自分も休息を取るべきなのは分かっている。けれども、彼との決戦を前に身体が休まる気がしなかったのだ。
ざわざわと落ち着かない胸の魔導器に嫌な予感がしていた。今までこんな事は無かったのに、生を自覚してから何かが変わった。
そう、それは彼等によってもたらされた変化。彼に縋る事で捨てたもの。それは自分を道具から人へと戻したけれど、道具であった自分を否定する事に他ならない。

道具では無くなった自分が彼を討つ。
彼の全てを否定して。

そんな権利が自分にあるとは思えない。けれど彼等は自分に共に歩む事を望んでいる。それは嘗ての彼とどんな違いがあるのだろう。嘗て彼の手を取ったこの手を今度は彼等が取っただけなのだ。
ざわざわと、波の音に紛れて大きくなるその音。次第に痛みまで伴ってきて、息苦しさに胸を押さえながらそのままうずくまる。まるで彼を討とうとしている自分を責めているかの様なその痛みに、小さく安堵した。
此処に至るまで、本当はずっと不安だった。余りに彼等が優しく何もかもを赦すものだから、過去の所業さえも無かった事の様になっている気がした。それがいつまでも続くとは思えないし、それに甘えていても良いのか、と。
私、を無かった事になど、俺、には出来やしないのに。





「………おっさん、まだ休まねぇのか」
いつの間にか治まっていた胸の痛みに身を起こせば、船内へと続く扉近くから聞こえてくる怪訝な声。声の方向に振り返れば、青年がその声に似合う表情を浮かべて立っていた。
「あら青年、居たの」
先程まで痛んでいた胸を隠す様に、至極普通に笑いかける。息苦しさはまだ残っていたけれど、今は心配を掛けるべきではない。ゆっくりと近付いてくる黒い影に背を向けて、何気ない素振りで海を眺めた。
「あんたがまだ戻ってこないってエステルが気にしてたんでな、リタにおっさんを連れて来いって追い出されたんだよ」
「そりゃご愁傷様ね」
日が完全に落ちた海は月明かりを反射して、静かに波打っている。隣に立つ青年の姿は分かるけれど、表情までは判断付かない暗さだ。逆に言えば青年から俺の表情も分からないだろう。好都合だ。
「そう思うならこんなとこで黄昏てないで部屋に戻ればいいだろ」
「んー……この年になると色々考えちゃってね、簡単には眠れないもんなのよ」
敢えて明るくそう言い放つと、返って来たのは小さな溜め息だけで、嫌な静寂に波の音だけが響いた。
「な、何よ青年黙んないでよ、俺様虚しくなるじゃないの」
「……おっさん、無理に割り切れとは言わねえから、早めに寝ろよ。あいつらが心配するし」
沈黙の後に言われたその言葉に、内心凍り付く様だった。どうしてこの青年はこうも勘が良いのだろう。反論しようにも唇は震えてしまっていて、言葉を発する事が出来ない。ただ茫然と部屋に戻る後ろ姿を眺めるしか出来なかった。





結構長めの10のお題2より
配布元:Abandon





これ2に続きます。10題で構成が出来てるので本当は1題につき1話にしたかったんですが、長くなり過ぎました(苦笑
残りは書け次第上げます。

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2009'02.12.Thu

来てしまった。遂に来てしまったのだ。

目の前に聳えるのは何ら普通の扉。何も知らない者が見ればそうとしか思わないだろう。
けれどそこは騎士団を纏める者だけが使う事を許される部屋に繋がる扉なのだ。他の部屋の扉とは全く意味が違う。

その扉の前に立ちながら息を飲む。なるようになれ、といざここまで来たものの、その威圧感に圧倒され最後の一歩が踏み出せずにいた。
「………、やっぱり無理だ」
次第に周りの視線が痛くなってきて、堪らず帰ろうと踵を返せば、途端音を立てて開く背後の扉。続いて聞こえてくる足音に、瞬時に緊張が走る。直ぐに逃げ出してしまいたいけれど、そんなのは失礼に当たるだろうし、何より足は動いてくれない。恐る恐る振り返れば、怪訝な顔をした彼が立っていた。
「あ…、アレクセイ、隊長」
「やはりお前かシュヴァーン、どうしたのだ私の部屋の前で」
いざ彼の前に立つと、緊張の余り何も言えずに立ち尽くしてしまう。どうしようと焦っていると、優しく頭を撫でられて、無意識に手に力が籠もる。それにあわせて後ろ手に持っていた紙袋がくしゃりと音を立てた。
「……何だ、それは」
そう聞いてくる彼に、もう隠すことは出来ないと意を決してその袋を突き出した。
もう、なるようになれ。
「あ、あの……アレクセイ隊長は甘味がお好きだと聞いたので、よかったら………」
どうぞ受け取って下さい、という最後の部分は口籠もってしまう。ああ俺の馬鹿と嘆いていれば、彼には意が伝わったらしく、その袋を優しく受け取ってくれた。
「そうか、有り難く頂こう」
また優しく頭を撫でられて、もう恥ずかしくて俯いてしまう。かさかさ、と袋を開ける音がして顔を上げれば、中身を取り出して笑う彼が見えた。
「……チョコレートか、……む、これはもしや」
「俺が作りました……あの、嫌でしたら別に……っ」
「何を言う、わざわざお前が作ってくれたのだ、喜んで食べさせて貰うよ」
「あ、ありがとうございますっ」
どうなるかと思ったけれど、なるようになったじゃないか。それに彼の嬉しそうな顔を目にすれば、もうそれだけで十分だ。

いつまでも居座るのはいけないだろうと、礼をして部屋を去ろうとすれば、静止の声を掛けられる。何だろうと振り返れば、彼はあのチョコを食べていた。
「隊長っ…今食べて頂かなくてもっ」
もう恥ずかしさやら何やらで、思わず叫んでしまった。熱くなる顔を押さえながら再び彼を見れば、その表情にそれまでの思考が一気に止まる。
彼がまるで子供のように顔を綻ばせて、自分の作ったチョコを食べていたのだ。
「……シュヴァーン」
「あ、はいっ」
呆気に取られていれば、彼が静かな声で自分の名を呼ぶ。我に返って返事をすれば、彼は至極優しい声で言った。
「また、私にチョコを作ってくれないか」
それがまるで親に物を強請る子供のように見えてしまって、思わず笑ってしまう。その様子に彼は不貞腐れた様にそっぽを向いてしまった。
「ふふ……すいません、アレクセイ隊長、俺で良ければいつでも作りますよ」
今まで遠い存在のように思っていた彼が何だか身近に感じられて、とても嬉しかった。
「そうか。……それとシュヴァーン、私の事は呼び捨てで構わないぞ」
「………はい、アレクセイ」



そう思い出しながら溶かしたチョコをかき混ぜれば、嬉しそうな顔で年下のあの子が見てるのだった。



選択制お題より。
配布元:Abandon




という事でバレンタイン文です。
すこーしマガで流したユリレイの方と関連性を持たせてみましたが、なんか微妙(苦笑
近頃のアレシュヴァがなんかほのぼので本当心が痛いです。でも私DVな方も好きなんだ(笑
ただこれ、連作設定練る前に書いた奴なんで時期は不明です。まぁ、シュヴァが若くて可愛い頃だと思って下さい。


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2009'01.24.Sat
いつも気丈に振る舞う彼女の弱さを知ってしまったのはつい最近。どんなに辛い目に遭おうとも我が身を省みずに立ち向かっていく姿の裏で、彼女は小さく泣いていた。


「……フローラ姉様、私は」

夜遅く、深い闇の奥に仄かに煌めくエメラルドの髪が見え、どうも気になって近付いてみれば、そんな呟きが聞こえた。
それはいつもの彼女からは考えられない様な弱々しい声で、声を掛けるタイミングを失ってしまう。仕方無く、うなだれる彼女の背中を眺めているしかなかった。
「私は、本当に生きていて……」
その背中が呟きと共に震えだして、遂には声にならない嗚咽が聞こえてきた。伸ばし掛けた腕が、行き場を失って空を切る。その答えを俺は持っていない。
もう戻ろうと踵を返したその瞬間、息を飲む音が聞こえた。まさかと思い振り返れば、彼女が涙を湛えた目で俺を見ていた。
「……ヒスイ」
「………悪ぃ、盗み聞きするつもりは無かったんだ」
何も聞かなかった事にするから、とどうにか許して貰おうと口を開くが、それは音になる事は無かった。

「心配してくれたのですね、ありがとう」

そう口にする彼女の表情が余りに優しいものだったから。
先程までの様子を見せないように振る舞う彼女にスピリアが痛むが、それ以上に違う感情がスピリアを覆うのが分かった。
(やべぇな、まさか)


彼女が愛しいと、そう気付いたのはつい最近。





選択制お題より。
配布元:Abandon




スピリア表記に慣れません(苦笑
つか片仮名は浮く気がするんだよね。でもそうしないとハーツの世界観無視になっちゃうしな…うーむ。
ヒスリチつか寧ろヒスイ自覚話というか。なんか時間軸とか全く分かんないよ、クンツァイト出てこないし(苦笑
本当はもっとほのぼのしたものを書こうと思ってたので、題と内容が合ってない。暗いよ。
まぁ最初ですから色々許して下さいな。

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2009'01.21.Wed
シュヴァリタ


溢れ出した血が、目の前の彼の黒髪を赤く染める。
それは筋となって彼の頬を伝い、床へと滴り落ちた。

「リタっち」

聞き慣れた言葉を、目の前の見慣れない彼が、聞き慣れた口調で紡ぎ出す。
愚かにも、あたしの足は震え上がっていて、立ち上がることは出来ない。

不意に彼の腕があたしに伸びてきて、その真っ赤な手で、あたしの肩を掴んだ。
強い力で引き寄せられて、彼の苦しそうな顔が目の前に映った。
耐え切れず目を逸らしてしまう。

「……、ごめんね」

苦しそうに吐き出された小さな声が耳を打つ。
肩にあった指先がずるりと滑り落ちて、あたしは目を見開いた。
目の前には、彼の姿は無い。


崩れ落ちた彼の横で、あたしは呆然と座り尽くすしか、無かった。



レイリタハロウィンネタ


「リタっち」
不意に名前を呼ばれて振り返れば、手のひらに一包みの塊を乗せられた。
「……何よこれ」
「何って、飴玉よ」
「そんなことは分かってるわよ、なんで飴玉をあたしに渡すわけ」
「ハロウィンよ、あれ、知らないの」
「興味ないから」
渡されたばかりの飴玉を彼の手のひらに返せば、困った様にそれを手のひらで遊ばせていた。
「お菓子貰えるのは子供だけの特権なのにね」
「子供扱いしないでよ」
「15はまだ子供でしょ」
そう言うと何か考えているのか、顎に手を当てながら黙り込む。いきなり訪れた静寂に、耐えきれず声を上げようとした瞬間、彼によってその静寂が壊された。
「まぁ、強ち子供でも無いのかもな」
その声と共に手のひらが顔に伸びてきて。

「大人の悪戯、してみようか」


喉まで出かけたその返事は、そのまま彼に飲み込まれた。



(あんたの方が十分大人気無いわ)





ユリレイ酒ネタ


「あらま、珍しいわね」
きぃ、と音を立てて開かれた扉の先には、見慣れた青年の姿。しかし此処は自分の通い慣れた酒場だ。今まで誘っても決して来なかったのに、どういう風の吹き回しだろうか。
「……なんだよおっさん、俺が酒場に来て悪いかよ」
「あらら俺様顔に出てたか」
「ばっちりとな」
そう軽く笑い合った後、彼は隣と同じのを、とマスターに頼む。マスターは表情も崩さず静かに応えていた。
「いいの青年、これ結構強いわよ」
そう言ってからん、とグラスを揺らした。すると青年は不敵に笑って、一言言い放つ。
「なあに、ロックで飲むほどじゃないだろ」
その台詞に俺は凍り付くしかなかった。


俺が一杯飲む間に彼は軽く三杯は飲んでいて、その速さに驚くもそれ以上に、この種の酒をストレートで顔を変えずに飲んでいく事に驚いた。
「ね、ねぇ青年、そんなに飲んで大丈夫なの。明日に響くんじゃ……」
「これでもいつもよりはゆっくり飲んでるんだけどな」
そう言ってまたグラスが一つ空になり、直ぐに出された新しいグラスに手を付けている。
(この子どんだけ酒豪なのよ……)
「それよりもおっさんはいいのかよ、たったそれだけで」
「ほどほどでいいのよほどほどで、お金もあまり無いしね」
そう言えば彼のこの酒の金はどこから出ているのだろうか。これだけ飲んでいれば相当の額になるだろうに。
「青年はお金の方は大丈夫なの」
「あぁ、闘技場での賞金溜込んでるから」
ここの所良く大会に出てると思ったら、そういう事だったのか。旅の資金は増えないからおかしいと思っていたのだ。その使い道が酒だと知ったらリタあたりが激怒しそうだ。
「でもそこまでしてお酒飲んでるなら相当酒場とかに通ってるのよね、おっさん今まで全然話聞かなかったけど」
「誰かと話してても必ずそいつは潰れちまうからな、忘れるんじゃねぇの」
(いや多分それは悔しいから言いたくなかったんだろうよ)
「俺は平気だけど、おっさん潰しちまったら旅に影響出るからな、だから今までは止めといたんだけど。この際だから飲んじまおうぜ、レイヴン」
「い、いや俺はもう良いって…ちょっ、ユーリ」


案の定、目が覚めたらいつの間にか宿のベッドの上だった。






ハロウィンネタとかどんだけ載せるの遅いんだ私(苦笑

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2009'01.20.Tue

「で、結局何だったっていうんですか。あんなの唯のガキじゃないですか」
ルーク、はあの後連れの様子を見るといって何処かへ行ってしまった。慣れた様子で帰る姿にも驚いたけれど、それを笑顔で見送っていた彼の姿の方が、一層吃驚した。唯のガキにそんな態度なんだ、流石の俺でも変だと思ってしまう。そんな困惑した様子の俺を、彼は嘲笑うかのように一蹴して言った。
「お前にはやっぱり分からなかったんだね。全く…クラトスといいお前といい、アイオニトスを飲んでいても所詮は人間でしかないんだな」
蔑んだ様な眼で見られるが、こっちは訳が分からない。
「……どういうことですか」
苦し紛れにそう尋ねると、今度は声を上げて可笑しそうに笑う。
「ふっ、お前は何処までもクラトスと一緒なんだな。僕は面倒は嫌いだから一度だけ言うよ。あれは」


「異世界から来た、人間そっくりの模造品だ」
そう宣言した彼の眼は、歓喜の色を湛えていた。


「異、世界……」
その言葉を聞いた瞬間、引っかかっていたものが一瞬にして取れた気がした。そうだ、ルークと言う名前はあいつが来た時に叫んでいた名前じゃないか。あいつが俺のこの赤い髪に反応したのも、あのガキの色と混同したのなら納得出来る。
あいつはずっとあのルークを探していたんだろうか。わざわざ異世界に飛ぶような真似までして。しかし彼の言う模造品と言う話、あいつの口からは聞いていない。無論、言わなかっただけなのかも知れないけれど。
何故か苛立つ頭に、彼の前だと気付き必死に冷静になろうと息を深く吐いた。その俺の様子に気付いているのか、彼は薄く笑った儘言い放つ。
「お前は何か知ってるのかな、ゼロス」
その声色は台詞とは裏腹に確信を持った音をしていた。全てを見透かす様なそれに、背筋が凍る。冷や汗が流れるのを肌で感じながらも、微動だに出来ずに突っ立って居れば、彼は含んだ笑みを貼り付けた儘、言葉を続けた。
「まあ良い、兎に角あれは僕の監視下に置く事にした。お前には更にあれから情報を引き出して貰うよ、あれは興味深い存在だからね」
そこにはあの優しそうな彼の顔は一切無く、見慣れた冷たい笑みを浮かべた彼が居るだけだった。彼の演技力には本当に驚かされる。多分それが今の俺の元になっているのだろうけど。
「……俺を呼んだのはその為ですか」
「それだけじゃないよ。実はプロネーマから気になる事を聞いていてね、この眼で確認したいんだ」

「それにはお前の力が必要なんだよ」
その冷たい笑みとは裏腹に、頬に伸ばされた指先は思いの外、温かかった。





久しぶりの小説です。取り敢えずこれは書けてたんで載せました。
本当はアレシュヴァが書きたいのに何故か書けず悶々としています(笑
なのに絵はがりがり描いてる始末。
次は漸くジェイドのターンです。……話が進んでないよ本当(汗

てかそろそろマイソロ2が発売してしまうのにまだハーツクリアしてないよ!
いや多分もうラスダンなんだよ、でもサブイベが多いんだよ!
回収しきれないよ……。

あぁ、そういえば。
ハーツ兄妹の訛りは最高ですよね(笑

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