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日記兼短文落書置場..........。

日記だったり短文や絵を載せたり等々何でも賄えなノリで。

2025'05.10.Sat
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2008'06.10.Tue


穏やかな日差しの中、青々と繁る葉の下に男が二人。片方はその立派な幹に身を預け、もう片方はその側で完全に横になっていた。
ゆっくりとした時間が過ぎている。彼らにとってそれは一時的な息抜きでしかなかったが、何故かそう感じさせる雰囲気がそこにはあった。
「……ねー、ロイドくん」
「…ん、」
「平和、だよな………」
「ああ、そうだな」
静かな風にふんわりと揺れる長い紅髪を横たわる男は下から触りながら何気ない会話を続けていく。その様は恋人達の甘い一時に違いなかったが、彼らにはそれが特別なものに感じられて仕方なかった。
明日になれば今日のこの時間もかき消されてしまうような厳しい日々がまた始まる。覚悟して臨んだ事だ。止めるなど決して考えもしないが、それでも時には全てを忘れたくなることだって、ある。
この今の時間はまさにそれを叶えてくれるような、そんな時間だった。
「……ちょっ、ロイドくすぐったいんだけど」
「お前の髪ってさらさらだよな」
「……そりゃまあ、それなりに手入れしてるし」
「それに柔らかいし」
「まぁ、猫っ毛だし……」
「いい匂いがする」
男は軽く身を起こして柔らかい髪に鼻を寄せ、そのまま一房に口付ける。ふわりと香るシャンプーの匂いに頬を緩ませた。相手の顔を紅髪の隙間から覗けば、少なからず照れているのが見て取れる。
「ゼロスって、かわいいよな」
「え、な……いっ、うわっ」
ぐいっと一房を引っ張れば、幹に預けていた体がバランスを崩して倒れ掛ける。慌てる相手を楽しげに眺めながら、男は手を紅髪に埋めて引き寄せた。
そのまま下から口付ければ驚いた顔がまじまじと見え、くぐもった声が響く。紅髪がカーテンのように降り掛かっていて、とても綺麗だった。
その幻想的な様子を眺めながら、何度も何度も咥内を味わう。やがて苦しそうな声が上から降ってきて、男は渋々口を離した。
頭を引き寄せていた腕の力を抜けば、そのまま地面へと背中から倒れ込む。つられるように相手も手前に倒れ込んだ。
肩で息をする相手の頭をゆっくりと撫でる。相手が一際赤くなった顔を上げればどちらともなく笑いが零れた。
「平和だよなぁ」
「ほんとだぜ」
「………なぁ、ゼロス」
「ん…なに、ロイド」
「もう少し、いいか……」
そう言いながらも腕には既に力が籠もっていて、返事を返す前に再び口は塞がれる。


繁った葉の風に揺れる音だけが、静かに 響いていた。






2008年版ロイゼロの日。
始終ほのぼのを通したつもりなんですが、如何でしょう。

ラタの発売直前にあえてED後二人旅で。

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2008'06.07.Sat
はロクハレの日だという事で(笑





相変わらずの鬱陶しさに溜め息を漏らせば、中からアレルヤの苦笑が響く。けれど代わる気は更々ないようで、ドンマイ、と最早口癖になっているそれを返された。
「………、はぁ」
「どうしたんだよ、さっきから溜め息ばっかりで」
怪訝そうに見つめてくる視線に、お前のせいだと喚きたかったが、どうせ意味は無いんだろうと諦めて、また溜め息を吐いた。
「なら、離れろよ」
「それは出来ないな」
がっしりと腰を抱き締める腕を緩めることは無い。身動き一つ取れないまま、小一時間が過ぎていた。
まるで縋るような体勢に最初は驚きつつも、長く続けばそれもただ面倒なだけだ。先に発展するかとなまじ期待していただけに、逆に苛立ちは募るばかり。
「………たく、ママに泣き付く子供かっつーの」
「そうなのかもなぁ」
零した揶揄に苦笑しながら答える声に、驚きを通り越して呆れを感じた。大の男が何を言ってるんだ。つかそれよりも。
「俺は母親代わりかよ」
「例えだよ、例え。母親にはこんな事はしないだろ」
そう言うと回された腕が服の中に入り込む。いきなりのそれに息を飲んだ。
「っ、………な」
「期待、してたんだろ」
「うるせぇ」
じわじわとこみ上げる感覚に酔ってしまいそうだった。誤魔化すように吐き出した反論は、思いの外舌足らずで。
「今日ぐらいは慰めてくれないか」
「…………」
「ハレルヤ……、」
「………いいぜ」
もうどうでも良くなってしまった。

いつの間にかアレルヤの気配は消えていた。あいつの事だから気を使ったんだろうけど、今日だけはその心遣いに感謝することにした。




裏へは行きません(笑
私的にはこれはいちゃいちゃしているだけなんだが、如何に?

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2008'05.26.Mon
ハレルヤが部屋に籠もってから随分経ちました。部屋、と言っても僕達の世界の中の、ですけどね。
僕達は他の人達が思っているほど交流が盛んな訳じゃないんですよ。あ、いえ、仲が悪い訳でもないです。ただ僕はハレルヤの全てを知っているわけじゃない。ハレルヤはあまり話してくれませんからね、ハレルヤ自身のことを。
でもハレルヤが部屋に籠もるなんてめったに無いんですよ。いつも僕の所にやって来て僕をからかっているのが普通ですから。
ハレルヤは僕の部屋の鍵を持っているのに、僕はハレルヤの部屋の鍵は持っていないんです。ハレルヤの部屋の前に立って、ハレルヤを呼ぶことしか出来ないんです。


僕にはそれが歯痒くて仕方がないんですけどね。





理由なんてとっくの昔から気付いているんです。彼にとって、僕は。







(真っ暗な閉鎖空間そこには僕と君の二人だけ。でも君が僕以外の誰かを見ていること前から知ってるんだよ)





新たな文体を模索して悩んでいる近頃です(苦笑

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2008'05.06.Tue
とっても久しぶりですが、とりあえず14話。UPしたものの続きです。拍手に載せてたのか、もう忘れた(苦笑
なんか文章が古い……。






14

あれからローレライの接触は無くて、アッシュを一人残すのは不安だったけれどこのまま部屋に残っている訳にもいかないし、今の状況を知る必要もあった。まずはここはどこなのかを知らなくてはいけない。
でもここはどこか、なんていかにも怪しい台詞を言って回るわけにもいかなくてどうしようかと思っていたら、ミトスがこの街を案内してくれると言った。幸いなのか俺の考えを汲んでなのか何も聞かずに、だ。
これ以上厚意を受けるのも忍びなかったけれど、何も知らない俺が一人で動き回るより良い。なにより、アッシュは彼に匿って貰っているのだから、彼と離れるわけにもいかなかった。
ミトスに案内された街はウィルガイアと言うそうで、そこには多くの住民がいた。でもどこか生活感は無くて、生物が生きている街と言うより無機質な世界の気がした。まるでレプリカのホドの街みたいだと思ってしまう。
けれど一番驚いたのは、そんな住民達には皆、『羽』が生えている事だった。
「まるで、御伽話の中の世界みたいだ」
思わずそう言ってしまうがすぐに失言に気付いて、謝ろうと咄嗟にミトスを見れば彼は苦笑するばかりで、逆に俺のその反応に困惑しているようだった。
「でも、僕達にはこれが当たり前なんだよね…」
そう言った彼はどこか寂しそうで、俺はそれ以上何も言う事は出来なかった。
その後もミトスは案内をしてくれたけれど、始終俺は無言になってしまいミトスは少し悲しそうな顔をしていた。わざわざ案内させているのは俺なのに、とても申し訳ない気持ちになってしまう。
「ルークはこの街が気持ち悪い?」
不意にミトスが言った問いに、俺は即座に否定してしかし言い澱む。本当のことを言っていいよ、と言うミトスに、どういえばいいのか困ってしまった。
「なんていうか……不思議な感じだ」
曖昧な返事を返してしまって、悪いことしたなと反省する。しかし、俺の考えとは裏腹にミトスは満足そうな笑みを浮かべていた。


「クラトス」
背後から静かに自分の名を呼んだその声色は確かに彼のものだったが、しかしいつもの毒を含んだそれではなく、まるであの頃を思い出させるような柔らかいものだった。
振り返れば今は殆ど見ることの無くなった優しい笑顔を浮かべた、現在の主がそこにいた。
「…ミトス」
「ルーク、彼はクラトス。僕の昔からの仲間なんだ」
そう言って彼が振り返った先にいたのは赤毛の少年。それはこの街で初めて見る者で、人懐っこいような顔で礼をする様はまるで小さな子供のようだった。その姿と素振りの不一致に戸惑うが、それ以上に違和感があった。
なにより、何故ミトスに連れられているのか不思議だった。
「彼は連れの子と一緒に、この街で倒れてたんだよ。それを僕が見つけたんだ」
私の疑問に答えるように言ったミトスの台詞に、更なる疑問が浮かぶ。
「……この街で、か?」
「うん。この街で」
微笑を浮かべながら繰り返すミトスは、更に続けて言った。
「僕には原因は解らないんだ」
この街を統べる唯一の主は、静かな笑顔でそう言った。


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2008'04.30.Wed
ぐちゅり、と嫌な音を立てて突き刺さる爪が、手のひらの肉をえぐり出していく。じくじくとした痛みと共に熱を発している。溢れ出した血が爪を真っ赤に染めるがそれが止まることはない。
痛いな、とまるで他人ごとのように眺めていれば不意に腕を押さえられた。
「何してんだ、この馬鹿が」
ずきずきと痛む頭でぼんやりとしながら声のほうを向けば、茶色の髪が目に入る。お節介な顔が慌てた顔をしていた。
「ロックオン、邪魔を…」
「その口調はハレルヤだな」
睨み付けてくる視線は俺を咎めるものばかり。何も知らないお前が俺達の何を知る。
手のひらの痛みは麻痺して来たのか、ただ手のひらが熱くて、真っ赤だった。掴まれた腕を振り払ってまた傷に爪を突き刺す。じくじくとした痛みが再びぶり返してきた。
「止めろ、ハレルヤ」
「うるせえよ、何も知らねえ癖に俺達に干渉するんじゃねえよ」
苛々しながら怒鳴りつければ、俺の剣幕に息をのむ。舌打ちして傷に集中すれば、頭の奥で泣き声が聞こえた。
(ごめん……ごめんね、ハレルヤ)
(何でお前が謝るんだ)
(………ごめん)
(泣くなよ、アレルヤ)

「泣くなよ、ハレルヤ」

気が付けば真っ赤に染まった手のひらは奴の手の中にあって、丁寧に傷を舐められているところだった。
血の味はやっぱり良いもんじゃないな、と苦笑しながら、更に舌を進める奴に呆気にとられる。
「は、何言って」
「何でこんなになるまで我慢するんだ」
言われた言葉の意味が分からない。俺は泣いてないし我慢もしていない。奴は頭がどうかしたんじゃないかと思わずには居られない。
「だから言ってる意味がわからねぇよ」
呆れながらそう呟けば驚いたように俺の顔を見て、悲しそうな顔をした。まるで俺を哀れむような、そんな顔だ。
ずきずきと頭が酷く痛む。今は誤魔化せないその痛みに唇を深く噛んだ。
「だから、止めろって言ってるだろ」
溜め息を一つ静かに吐いて、奴は赤く染まった俺の唇に舌を這わした。そのまま血を吸うように食い付いて貪られる。
じゅるり、と啜るような音の後、間に糸を引きながら唇を離した。
「………、吸血鬼」
「は、意味が分からないんだか」
「だからそれはこっちの台詞だって、の…」
俺の血が奴の唇に付いて真っ赤に染める。なんだかんだ言って整った顔の部類に入る奴の顔にまるで紅を引いたようで、不本意だが綺麗だと、思ってしまう。血の味なんて不味いだけの代物だが、今ばかりは良かったとさえ。
「ハレルヤ」
「………、なんだよ」
真摯な響きで呼ばれた自分の名に、惚けていた意識を引き戻される。さっきまでの自分に恥ずかしくなって、ふてくされたような返事を返した。
「辛くなったら頼って良いんだぞ」
見つめてくる翡翠の瞳に映るのはなんて無様な顔。ああ確かに辛そうな顔してるぜ。
「………、馬鹿みてぇ」
呆れたように返した返事は奴の苦笑を誘うだけで。お前が思ってるのとは違うんだがな。まぁ敢えて言うこともないだろ。

あれだけ酷かった頭痛は今はもう消えた。





最初はグロい作品を書こうとしてた気がします。
でも結局はいつものような感じになりました(苦笑

内容が説明不足だけど、まあ敢えて説明しないということで。

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